国会リポート 第408号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。
※本記事の無断転載を固くお断り申し上げます。

総 覧

 新国際秩序創造戦略本部の第3回会合が開催されました。この戦略本部はコロナの経験値を通じて日本社会にレジリエンス(耐性)を装備し、コロナ後に展開される新たな国際秩序が自由主義、民主主義のルールと整合性が取れるよう経済安全保障の視点から、日米欧を中心にコンセンサスを広げていこうというものです。コロナ禍で世界中が痛感していることはデジタルトランスフォーメーションの必要性です。コロナをいち早く脱した中国は自分の価値観を世界標準とすべく戦略的に立ち回っています。4月の下旬、世界標準化機構(ISO)のスマートシティ部会に世界が対応すべきパンデミックにレジリエンスの高いスマートシティの基本的スペック(仕様)を提出しています。世界標準に採用すべきとするその仕様は監視カメラと顔認証システムと位置情報アプリ等全てをAIでコントロールする国家監視型社会システムです。つまり中国で行っているシステムを世界標準とすべきだという提案です。それが採用されればレジリエントなスマートシティを構築するためには中国仕様が原則となり、原則に最も適合するのが中国のハード、ソフト、オペレーションシステム一式と言うことになります。つまり基準を決め、それに最も適合したシステム一式を輸出し、そこから上がって来るデータは全て北京に集まるという仕掛けです。中国の凄いところは中国国内のルールを世界の標準とし、そのスペックを完全に満たすものは中国製しかないのでそれを使うしかないという極めて戦略的な進め方です。その為の戦略として国際機関を使って認証標準から中国式を敷いていくというもので既に国連の専門機関15のうち、4つの長を中国が獲得しています。ITU国際電気通信連合は無線通信と電気通信分野に於いて国際標準化と規制の確立を図ります。この分野ではファーウェイの5Gがサイバーリスクが大という事でアメリカ等から警告が出ている分野です。独裁的中央集権体制の下では、中央がシステムを設計し、一気に全国展開していくというやり方が極めて効率的でそのスピード感は圧倒的です。自由民主主義体制の下では政府の提案は民意を図りつつ慎重に合意を形成した後に施行するというやり方で人権尊重を下に慎重に進められますが、独裁国家方式に比べればスピード感では圧倒的に劣後します。しかもこの中国型システムは独裁色の強い国家の元首であればあるほど魅力的に映る仕組みです。政府への不満を芽の段階で強制的に摘み取ってしまう政権にとって都合の良いシステムだからです。コロナとの闘いはデジタルトランスフォーメーションを否応なく進展させます。世界中がDXシステムを採用するにあたり、国家統治の仕組みと直結をしていきます。国家統治重視か人権重視か新たな東西冷戦が始まっていきます。コロナの惨禍を潜り抜けた先には米中間の力の差は一段と縮まります。中国は既にプラス成長、アメリカは記録的マイナス成長の真っただ中、米中の力の差が縮まることはコロナ後の世界はより混沌としていくということになります。第二次大戦の終盤、米欧首脳が集まって大戦後の世界秩序の協議が行われました。IMFや世銀が出来、通貨金融システムの安定や適切な開発資金の供給等、新たな世界秩序ブレトンウッズ体制が構築されました。コロナ後には新ブレトンウッズ体制とも呼ばれるものが出来上がっていきます。人権を尊重する自由と民主主義が敗北することは許されません。そのためにどういう人権尊重連合国を構築していくか、そのために日本の果たす役割は何か、そもそも日本に対して関係国が必須と思う価値が存在しなければ仲介役も果たせません。つまり日本の存在が不可欠であると思われる価値を戦略的にどう構築していくかという結論になります。この戦略的不可欠性を構築していく使命が新国際秩序創造戦略本部の至上命題です。

 

今週の出来事「リバイバル!?」

 週末の巣ごもり生活で体重が増えていくことに危機感を抱き、平日は40分の徒歩通勤、週末は1時間半のウォーキングを習慣付けました。メタボ対応サプリメント服用と合わせた結果、4キロの減量に成功しました。ウエストサイズもずい分減りました。目標の5キロまであと一息です。

 6月19日以降、3ヶ月振りに選挙区に帰れますが、「ご親戚の方ですか?」と言われないようにどうしよう。

 あっ、こんな時こそ、マイナンバーカード。『♪私以外、私じゃないの~』