国会リポート 第431号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。
※本記事の無断転載を固くお断り申し上げます。

総 覧

 このたびの衆議院選挙では、皆さんのお力添えを頂いたにも関わらず、小選挙区での当選を果たせなかったことは、ひとえに私の不徳の致すところです。この結果を厳粛に受けとめ、頂いた12万4,595票の重みを胸に議員として活動して参ります。私が議員として、取り組むべきは皆様の不安と不満に寄り添い、想いを共有して対応策をお示しすることです。

 具体的には、

❶コロナに対しては
①12月から始まるワクチン接種体制を確保、進展させる。
②抗体カクテル療法や経口治療薬で罹患者を迅速に回復させ重症化させない。
③万が一悪化しても入院不安を解消する安心出来る体制を敷く。病床確保と医療従事者確保を予算措置を含め充実し病床不安を払拭する。

❷ウィズコロナ政策。
①コロナを抑えつつ経済を回して行く。ワクチン接種電子証明書(ワクチンパスポート)を活用し各種経済活動を再開する。Go Toキャンペーンも再開。接種を受けられない人には無料のPCR検査による陰性証明で、経済活動に参加する道を開く。
②各種支援金の延長・拡充措置を補正予算で確保する。
③18歳以下の子どもに所得制限をかけつつ、給付措置を行う。

❸新しい資本主義の構築。成長と分配の好循環を実現する。砂に水を撒くようなバラまき分配政策ではない、若者も将来分配を受けられるよう、投資的分配政策を行う。
①労働分配率を引き上げ、賃金引き上げを誘導する簡素な法人税減税を行う。
②人材のスキルアップ投資を行い、デジタルトランスフォーメーションに対応するための人材育成投資支援策を抜本的に強化する。
③企業自身の新たなイノベーションのための、研究開発政策を拡大する。

❹そのために
①大学を改革し、経営という理念を持たせ経営部門を設置し、研究そのものを始めとするアセット(大学が持っている資産)をフル活用するという体制を作る。(現在進行中)
②国立大学、国立研究所14万人の研究者の研究をシーズとしてデータベース化する。(完成)
③大学の若手研究者、博士課程学生及び大学の研究支援のための10兆円運用基金を組成する。(今期、補正で完成)
④大学、官界、産業界がイノベーションの創出について議論する集い、大学支援フォーラムPEAKSを組織する。(完成)

❺世界へデビューするベンチャー、スタート・アップエコシステムの実践の場として、東京シリコンバレーを設置する。(構想進行中)

 

今週の出来事「6年前の出来事」

 猛烈な「落選運動」が展開されました。6年前の出来事が事実に反する形で蒸し返され、いわれのない中傷の嵐に見舞われました。誤解を解いて逆風を跳ね返すことができなかった力不足をお詫びするとともに、改めて事実と経緯をご説明させて頂きます。

 振り返れば6年前の件は、私の地元秘書(当時)が千葉の建設業者からの陳情を受け、過剰な接待を受けながらUR(旧住宅公団)に働きかけをしていたとして、私の関与をも疑われた事案でした。しかし当時、TPP交渉で忙殺されていた私には何の報告もなく、週刊誌報道で初めて知ったというのが紛れもない真実です。 民間団体からの告発を受け、東京地検による数ヶ月にわたる捜査の結果、私の無実は証明されました。加えて上記団体の申立てを受け、国民から無作為に選ばれた検察審査員による審査も行われ、結果は、東京地検の判断と同様の内容で、私自身が「全く関与していない」という主張が真実であると再確認されました。刑事司法に関わる二つの組織によるダブルチェックを経て、疑惑を完全に晴らすことが出来ました。

 また、建設業者が大臣室を訪れた際に受けた就任祝いも誤解を招いているようですが、政治資金規正法に則った手続きを済ませ、司法当局でも確認されています。もちろん大臣室で陳情の話など一切出ていません。

 疑惑を受けた秘書も最終的に「不起訴」となりましたが、監督責任や政権運営への影響などを考え、大臣を辞任する形で責任を取らせて頂きました。

 辞任会見の際、それまでに調べ得た第三者の弁護士による調査内容は全て発表し、私自身に関する事柄は質問が尽きるまで答えて説明責任を果たしました。秘書に関する残余の部分は、引き続き第三者の弁護士が調査し、司法の判断が出たあと党本部で会見して説明し、発言要旨も配布しました。更にその後も文書で頂いた追加質問には全て文書で回答し、出来るかぎりの説明責任は果たしたつもりです。