国会リポート 第366号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

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 補正予算の大枠が決まりました。9,400億円の内訳はかつての台風や集中豪雨、そして地震にかかる被災地の復旧事業が大層です。加えて、喫緊の課題である小中学校へのエアコンの設置やブロック塀の安全対策です。総理の外交日程等から時間的な制約があるため、インフラの点検整備対策や各種景気対策等は年末の予算編成で議論される見通しです。

 さて先般、日米物品協定(Trade Agreement on Goods)の交渉開始で合意しました。結論から言えば、現状下ではかなり知恵を出した首脳合意だったと評価しています。日本の農産品の輸入関税等、譲歩範囲はTPPの内数であること、協議をしている間、米側は自動車の追加関税を賦課しないことが約束されています。もちろん、日本からは対アメリカの工業品関税についても交渉をするわけです。よく識者から「堂々とWTOにアメリカの理不尽な対応を訴え出よ」とか、「アメリカ包囲網を作るべきだ」とか指摘をされますが、実態をほとんど理解していない意見です。もともとWTO等国際機関をトランプ大統領は信用しておらず、公式の場でWTOからの脱会を示唆する発言は十回以上行っています。アメリカ包囲網に至っては、世界の貿易の4分の1を占めるのがアメリカであり、大陸国家であるがゆえにある程度自給自足経済に耐えうる国に対し、包囲網は空虚な響きです。つまり、世界はアメリカとの門を閉ざして立ち行くことが出来ない条件下に置かれている中でどう交渉を進めていくかです。

 加えて、トランプ大統領が従来の常識の枠内に収まっていない思考と行動をする人である以上、定番型の対応ではとても解決不能な対象だからです。トランプ大統領に対して絶対やってはいけない手法は相手の間違いや誤解を指摘して、論理的に説得しようという試みです。猛反発をされ、門戸を閉ざされ、理不尽な対応をされるのが関の山です。トランプ大統領の主張するアメリカ側の懸念は共有しつつ、より生産的な方法での解決の道筋をわかりやすく提示していく。これをうまく行っているのが安倍総理であり、別の手法でうまくやっているのは残念ながら金正恩委員長です。金委員長は徹底的にトランプ大統領を称え、これ以上ない心地良さに引き込んで行く中で、経済制裁を解かせ、経済支援を引き出す作戦です。(支援のつけは日韓にまわる懸念が大です)しかも、核放棄をしたフリで相手を自分のテーブルに乗せる巧妙な作戦です。ホワイトハウススタッフや国防省はその魂胆を簡単に見抜いているハズですが、トランプ大統領が乗せられてしまっているという悩ましい現状です。

 

今週の出来事「頑張ったご褒美」

 前駐日大使のキャロライン.ケネディさんから突然私の携帯に自民党選対委員長就任を祝うショートメールが来ました。大変驚き恐縮して、その旨を外務省の幹部に伝えたら、ケネディさんは前々から私の復帰を待ちわびて居たそうで今回の報道に「Mr.Amari‘s return has started!(甘利さんの復帰が始まった!)」と大喜びをされていたそうです。

 復帰と言えば以前、政策大学院大学の白石学長(当時)と歓談した友人の代議士から「ASEAN(東南アジア)を回ると甘利さんの復帰を願う識者の声がとても多い」と言われたと伝えて来てくれました。 感激の極みです。まだまだ頑張らなくちゃ!

  先日2歳半の孫の保育園の運動会に行きました。競技を終えたばかりの孫に「頑張ったね!」「うん、がんばったー!じーじ、おもちゃ買って!」

 誰かじーじにもご褒美あげて!(笑)

 


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