国会リポート 第364号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

総 覧

 第4次産業革命・デジタル革命・ビッグデータ革命・データドリブンエコノミー。戦後最大の経済社会変革を表す言葉は多様です。言葉は変われど起きている社会変革は一つ。アナログ社会からデジタル社会への大転換。紙の書類がなくなり、スマホやタブレット・パソコンによる電子処理、電子手続き、国によっては貨幣の発行そのものが形骸化し電子決済で貨幣データだけが行き交う社会へと戦後最大の大変革が進んでいます。省庁や市町村役場が電子政府化するといちいち窓口に出向かずとも手元のスマホやパソコンから全ての手続きがワンストップで出来るようになります。家庭に帰ればGoogle HomeやAmazon EchoのようなAIスピーカーに向かって「録画再生して」「冷蔵庫の足りないものを買っといて」等、指示すれば何でも用が足りる。決済も電子決済で自分の口座から自動的に引き落とされる。目の前に来ているデジタル革命です。世界中の工場はインターネットで繋がり、稼働状況はデジタル化されたデータがクラウドに集まり、人工知能が分析をし、最適化稼働の指示が本部人工知能から工場ごと、機械ごとに発信されます。人工知能による自動運転車は人間が運転するよりはるかに安全です。前しか見られない人間の目と違って四方八方の状況をカメラが認知し、合わせて見えない角の先からの監視カメラデータも受信し、前後左右の車の走行状況も読み取り、何千分の1秒単位の制御を行います。道路上を走る車の運行データは全てクラウドに送られ、最適運行管理も人工知能により為されます。一見、便利なデジタルデータ社会も情報管理ルールを誤れば監視社会になります。

 中国のように2000万台の監視カメラ、全国民の顔認証登録、全使用者の電子マネーの行き交い、全国民の一挙手一投足はアリババやテンセントのようなデジタルプラットフォーマーを監督する共産党政府の管理下に置かれます。そのシステムの下でのAIスピーカーの設置は一つ間違えば、盗聴器の設置と同様です。日本のシステムのように個人情報の分散管理、個人からは自分のデータの全てが把握できるが、行政からは出来ないシステムを世界標準にすべきです。合わせてEUの個人情報保護ルールのように個人情報の管理権はその個人本人に帰属する。つまり活用するには当事者の同意を要する。加えてインターネットの大原則、データの国境移動の自由を組み合わせる必要があります。つまり「規制と自由」「保護と活用」「個人データを安全にフル活用する」為の基本ルールを確立すべきです。合わせて、「データ駆動型社会」のプラットフォーマー(データを集め、解析し、活用を提供できる主体)に米国・中国だけでなく日本がなるべきです。どういうシステムが世界を制覇するかは、次の3年で決まります。考え方の異なる欧州と米国。これらのいいとこ取りをするシステム。「保護と活用」つまり「個人情報を安全にフル活用する」システムが必要なのです。欧州と米国を継ぐのが日本の役割。それが出来るのは安倍総理しかいないのです。

 

今週の出来事「昭和は遠くなりにけり」

 地元の敬老会や神社の祭礼に出席すると司会者の「これが平成最後の開催になります。」との枕言葉で始まります。来年4月30日に天皇陛下がご退位をされ、5月1日からは新元号がスタートします。

(会場から)
「新元号って何になるの?『甘利』じゃないよね?」

「ありません!(キッパリ)」