国会リポート 第363号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

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 5日未明に発生した北海道の大地震はその規模、発生地とも想定外の事態でした。地震大国日本はおおよそあらゆる地域に活断層が走っており、大規模地震と無縁の地はほとんどないとはいえ、北海道にこれほどの規模でこんなに早く地震が発生すると予測した人はいなかったのでのではないでしょうか。本来は丘陵地帯の山が半分削られ、形状が変わって険しい山並みになっている映像は今までの常識を覆す衝撃です。台風の豪雨で山の土壌が軟化した上、最大級の震度が相乗効果を与えたようです。被災をし、犠牲になられた方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 翌日に自民党総裁選がスタートをすることもあり、早朝から対応を協議する電話が相次ぎました。官邸からの連絡で安倍総理は「時間との闘い。今は災害対策に専念したい。」という強い決意でした。合わせて、橋本聖子選対本部長はご自身の地元が北海道ですのでそれどころではありません。安倍選対の緊急役員会を開き、党の選挙管理委員会の決定に先んじて出陣式の中止を決定いたしました。合わせて、3日間選挙運動の自粛を決め、安倍総理が災害対応に専念できる環境を作りました。

 大型台風が連続して襲来し、その規模も歴史を上回ることが被害を大きくしています。道路上の車が強風によってコロコロと転がされる映像はまるで映画のシーンの様です。大規模冠水をした関西空港に防潮堤は設置されていたはずですが、温暖化と満潮と大型台風が重なった時にこういう事態が発生したわけです。天災が大型化した影響とハザードマップとを重ね合わせ地域の脆弱性の優先順位をつけて防災を先回りして集中的に行い、合わせて既存の建築許可地域を防災マップに沿って全国的に見直していく作業も必要になるのではないでしょうか。従来、建物を建ててもよかった地域も天災の大型化で建物を建てない方がいい地域になってきているはずです。人口減少と高齢化に伴い、官民の行政サービスや福祉サービスを効率よく利用できるコンパクトシティの考え方をもう一度精査する時代になっているのではないでしょうか。さらには、人的・物的被害を極小化するという発想に立てば、前述した先回り防災の方が被災した後に復旧する費用よりはるかに安上りのはずです。北海道の大停電は、今日(9/7)中に8割方復旧をしますが、本格復旧には少なくとも一週間程度要するようです。頼みの綱の泊原発が原子力規制委員会の審査待ちで何年間も止まったままです。新安全基準を満たす大規模投資が終わった原発は一刻も早い審査を必要としています。ガソリンスタンドに補正予算で自家発電装置を付けたり、病院等の自家発電装置への燃料供給について、費用負担を国がするプッシュ型支援等過去の災害の経験はしっかりと生かされています。

 さて、本日総裁候補届出の手続きが行われました。安倍選対の三役を3度務めましたが、今回初めて届出役をやりました。届出時間は10時~10時20分までの間ですので、10時に到着していた両陣営は20分間席に座ったまま待ちます。選管役員、党役員ともども会話も交わさず20分間じっと待ち続ける状況は、通常の党務ではお目にかかれない光景です。20分経ったところで選管委員長が締め切りを宣言し、両陣営に対し手続き開始を宣言します。まずは届出順を抽選で決め、その順序に従って関係書類を自民党総裁選挙管理委員長に提出します。一連の儀式は極めておごそかな雰囲気の中で行われました。