総 覧
7月11日から15日まで超党派議員団の団長として米国を訪問してきました。都合20人の上下両院議員と30分~1時間個別に会談をしてきました。アメリカの国会議員と会う際には、テーマをきちんと伝えて意見交換をするのがより議論が深まるとのアドバイスを米国ロビイスト会社から受けていたこともあり、それぞれ会談の冒頭二点を伝えました。第一は型破りの大統領の誕生もあり政府間で摩擦や誤解が生じた場合でも亀裂が拡大しないよう議会間でも関係を強固にしていく。二点目は着々と進みつつある政民一体となった中国のサイバー覇権にどう向かい合うかを日米で共通認識を醸成する。こちらから警鐘を鳴らすべくもなく、米国の対中認識は激変しています。21世紀の国際社会をともに構成していくパートナーでありライバルである中国、との認識から、習近平皇帝によるデジタル覇権の脅威にどう対処すべきか、と大きく認識が変わりつつあります。つまり、第四次産業革命の下でのバイドゥやアリババやテンセントの様なデジタルプラットフォーマー(デジタル社会でそれがなければ国民生活や産業経済が成り立たない21世紀のインフラ)が政府と表裏一体となって世界展開をし、そこから得られるデータや個人情報は全て習近平政権が一括管理するという仕組みに世界はどう対処すべきかです。
現金の信頼性が極めて低いこともあって、中国では田舎の隅々までアリペイやウィーチャットペイのような電子決済システムが浸透しています。買い物から電車からタクシーまでキャッシュレスシステムが全土を覆っています。そのシステムには、個人の金融資産、金融以外資産、賞罰履歴、友人関係などあらゆる個人情報が登録され一人一人に信用度点数が付きます。合わせて、中国全土に2千万台の監視カメラが設置をされ、それで捉えられた映像は個人認証システムにより即刻識別されます。嘘のような本当の話として伝えられるのは、ネット上に国家指導部の悪口を書けば即座に買い物が出来なくなり、タクシーに乗れなくなり、電車が使えなくなる。表に出れば監視カメラで場所が特定されて、顔認証システムで当事者が特定され、直ちに公安がやって来て当事者を拘束する。このシステムが中国国内のものである限り中国の内政の問題ですが、世界中に敷いていこうとするところ、つまり、デジタル覇権を行おうとする野望にアメリカも極度の警戒感を持ち始めています。
アリペイを運営するアリババのジャック・マーCEOは2020年東京オリンピック・パラリンピックへの協力申し出を熱烈にしています。つまり、アリペイ電子決済システムをこの機会に日本に一挙に普及させていこうとする試みです。すでに、一部のタクシー会社ではアリペイシステムを装備しています。現在は訪日中国人用ですが、これに日本人が巻き込まれれば個人情報は全て中国に吸い取られます。デジタル覇権への不安は一帯一路政策にもあります。測位衛星と地上局による陸と海の自動航行システムは、測位誤差1cmと言われています。このシステムはバイドゥのAI(人口知能)が提供するソフトウェアで運行されます。一帯一路上を自動運転で動く車も船もその運航を独裁国家に委ねるのは、いかにもリスクがあります。データのやり取りや管理のルール、個人情報の取扱いのルール。公正で透明性のある国際ルールを日米欧で作っていくことが急がれます。
今週の出来事「犬(けん)とう違い?」
ワシントンにて訪米団と駐米スタッフとで会食をしました。アメリカに来たんだからアメリカのステーキを食べようということになり、お店推奨のTボーンステーキを注文しました。一番小さいのを頼みましたがそれでも300~400グラムとのこと。赤みの肉だから何とかなるだろうと思っていたら、運ばれてきたのは一キロくらいあるんじゃないかと思う肉の塊。
三分の一食べたところでギブアップ。もったいないのでどうしようと話していると、「うちの犬にあげたい。」ということでパッキングしてその人に。『ってことは、今夜は犬と同じ食事?』なんか急に有難みが薄れてきたなぁ。後でわかったことですが、他のテーブルの注文と取り違えたとのこと。
『とすると、犬の分の勘定は店が払ったっていうこと?』これで日米赤字がまた拡大した?いや、ワシントンの犬だし。(笑)