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日米首脳会談が無事終わりました。初日は120点。2日目は100点だと思います。初日は北朝鮮問題が主題でした。核・ミサイルの完全かつ不可逆的で検証可能な廃棄と拉致問題解決。トランプ大統領は会談後の会見で「(拉致を含め)日本のために最善になるようベストを尽くす」と宣言しました。これは拉致問題に加え、(アメリカに届く)ICBMだけでなく、(日本に届く)中短距離ミサイルも合わせて破棄させる内容も含んでいます。安倍総理からは核・ミサイル破棄交渉の歴史の中で、どう北朝鮮の交渉術により支援の食い逃げをされたか、どこに落とし穴があるのかを経験をもとにトランプ大統領に説明をしたと思います。先に交わされた南北交渉における確認6項目のどこに問題があり、トラップが隠されているか、両者で突っ込んだ話し合いがもたれたと思います。トランプ大統領からは6月上旬あるいはその前にも米朝会談を行いたい。会談の候補地は5カ所。その中にはアメリカ国内は入っていないことも明かされました。
注目すべきはそれまでに北朝鮮の誠意が見られなければ、会談は中止になることもありうる。その時には別な手段が取られるとの主旨も表明されたことです。このプレッシャーがあって金正恩委員長は20日の朝鮮労働党の総会で、核実験およびICBM試験発射の停止、核実験施設の廃棄を表明しました。しかし、現有の核とミサイルの完全・検証可能・不可逆的な廃棄については未だ言及をしていません。これは完全な非核化とは程遠い話です。4月27日に韓国と北朝鮮の南北会談が行われます。懸念されることはこの表明を受けて人道支援を始めようと文在寅大統領が言い出しかねないことです。これこそが過去に起こった失敗の一丁目一番地、食い逃げされた原点です。核・ミサイルが施設と現物について廃棄され、それがIAEA調査団等により完全確認され、不可逆的になった後に人道支援の検討は始めるべきです。
日米会談2日目は日米貿易赤字問題です。米国側はトランプ大統領の得意な二国間ディール(取引)で解消したいという主張であり、日本側は広範囲な世界戦略としてのTPPに戻ってもらいたいという主張です。結果はどういう具体的な手法を取るかを茂木TPP担当相とライトハイザー通商代表との間で協議するということになりました。この協議の仕組みは麻生副総理・ペンス副大統領対話枠組みの下に置かれるということです。具体的な進展があれば麻生・ペンス対話に上げるという仕組みです。トランプ大統領は、同協議で進展があれば、鉄鋼・アルミの制裁関税もなくすことを検討すると表明しました。トランプ大統領の交渉手法は米国が貿易赤字になっている相手国に、相手国の特定品目に重課をかけ(もちろんWTO違反です)、品目ごとにアメリカの赤字を何億ドルかずつ減らせば重課を解いてやるという手法です。20世紀の貿易構造と様変わりをして、21世紀の貿易構造はモノだけでなく、サービスや投資、そしてその投資が相手国の輸出に貢献するという構図に変わってきています。21世紀の構造を20世紀の手法だけで解消しようとするところに大きなひずみが生まれます。重層的で多国間に跨る貿易構造をどう理解させるか時間的余裕はそれほど多くはありません。
強権政治家の首脳が勢ぞろいする現在、戦後初めて世界から一目置かれる日本の宰相となった『安倍総理にしかできないハンドリング』。国民の皆さんには視野を広く、国益を考えて頂きたいと思います。
今週の出来事「加齢シリーズ II」
2~3ヵ月前から右ひざが痛くなり、湿布薬を貼ってもなかなか完治しません。長時間立っているのも辛くなったので精密検査を受けました。レントゲンでは全く異常なし。MRIでやっと半月板に小さな傷があるのがわかりました。
「何か急に激しい運動されました?」
「いいえ。特には。」
「その他に膝に衝撃を与えるようなことはありましたか?」
「特に思い当たるふしは。」
「・・・大変申し上げづらいことなんですが・・・」
固唾を飲んで先生の次の言葉を待っていると、
「加齢によるものです。」
前段のフレーズって要らなくないですか。大変申し上げづらいことですが(笑)。ちなみに現在はほぼ支障なくなりました。加齢と聞いて体が発奮したんだと思います。・・・そうか!あの先生はこの自然治癒力を狙ってたんだ。うーん。さすが名医。