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本年第2四半期(4-6月)のGDP速報値が憶測を呼んでいます。数字自身は年率換算2.6%と決して悪い数字ではなかったのですが、民間予測値3.4%を少し下回り、市場の反応はやや冷めたものとなりました。消費税引き上げ賛成派にとっても反対派にとっても微妙な数値と言われました。
しかし、内容を分析してみるとデフレ脱却に向けて政府がなすべきことは明確になってきます。消費が堅調である反面、投資にもう少し勢いがほしいという結果です。
過去の日本経済の回復過程は輸出がけん引をする、いわば他力本願の回復パターンでしたが、今回に限っては消費がけん引するパターンになっています。内需が経済をけん引するパターンですが、それは望ましい形態です。アベノミクスによる資産効果が消費を拡大しているわけであり、明確な政策効果です。
勢いづけるべき投資について分析をすれば、住宅投資は着工ベースでは8%以上の伸びをしていますので、次の四半期には実施ベースの数字は確実に上がってくるものと思われます。肝心な設備投資、これはGDPの13%を占める極めて大事な要素ですが、第二四半期にはプラスに転じると予測されていましたが、いまだ底打ちをしていません。もちろん、その先行指標たる機械受注はかなり上昇しておりますので、次の期にはプラスに反転すると思います。ただ、大事なことは産業競争力の源泉たる設備投資が予測よりも遅れ、それがGDP成長率の民間予測よりも低い原因の一つになっている点です。財務省は機械受注の好転をもって、ほっておいても設備投資は伸びてくる、との論理展開をしたいのだと思いますが、今我々が第一になすべきは、この機会に一刻も早く日本産業の競争力を世界一にしたてることです。それが、消費税を法律通り導入した場合の駆け込み需要の反動減から立ち上がる反発力の強化と密接な関係を持つからです。
財務省には常に経済対策は一円でも安く値切りたいという思いが付きまとっていますが(財務官僚のDNAとして必須なものであることは認めますが)ここは、過ぎたるは足らざるに勝るの一念を貫き通すべきです。
ブルネイのTPP会合から帰国後、直ちに26日から一週間消費税引き上げに関する集中点検会合を行います。ありとあらゆる関係識者50人余から経済財政諮問会議のもとで意見聴取や意見交換を行います。その結果を簡潔に取りまとめ、9月上旬には総理に報告したいと思っています。
マスコミから消費税引き上げに対する総理の本音はどこにあるかと、よく聞かれますが、総理が懸念をされていることはただ一つ、安倍内閣の至上命題は日本経済を長きにわたるデフレから脱却させること、その上で消費税増税と合わせ財政の持続可能性も社会保障の持続可能性も存立をするということです。
さて、22日からブルネイで始まるTPP閣僚会議に先駆け、キーマンたる米USTRフローマン代表が訪日し私との会談を行いました。オバマ大統領のハーバード大学の同級生で、大統領以上にビジネスライクと言われていたフローマン氏でありますが、会談を行ってみるとジョークの好きな好人物でした。アメリカは業界要望が政府主張に露骨に反映されるわかりやすい国とよく言われますが、知財保護期間の延長問題もウォルト・ディズニーのコンテンツの保護期間が切れることがそのバックボーンと言われています。日本の対応を問われ「家族はミッキーマウスが大好きだけど、よその国でも同じくらい好きか、まだ確認が出来てないので。」と言うと、「ハローキティにとっても大事な問題だと思うよ。」と切り返されました。うーむ、なかなかやるねぇ。