総 覧
総理名代として一泊三日のダボス会議強行日程出張は実り多きものでありました。
民間団体である世界経済フォーラムが1月下旬に開催する国際会議イベントは、いまや世界の指導者が年初の政治経済外交に関するメッセージの発信をする場となりました。
4年ぶりに行ってみて驚いたことは、久々に日本が主役になっていたこと。そして安倍総理の経済財政政策・アベノミクスが国際語になっていたということでした。
到着した翌日、朝4時半にホテルを出て、雪道を2時間以上ひた走り、到着するや会議の打ち合わせ。夕刻までに3つのセッションと5つのバイ会談をこなし、その日の夜にはスイスを出発するという強行スケジュールでしたが、つくづく行ってよかったと思いました。
アベノミクスとは金融政策と財政政策と成長戦略を三位一体として発動し、15年間苦しんできたデフレを脱却し、日本経済を本来の健康的な成長路線、つまり実質成長を適度に上回る安定した名目成長に導くことです。
前政権の時代にも政府と日銀は、共同文書なるものを発したことはありますが、誰が主体的に物価安定目標を実現するのか主語、述語がわからない取り交わし文章であり、物価安定目標も当面1%をメドとする、というような決意も伝わらない書きぶりになっていました。
安倍政権においては、日銀は、と主語をはっきりさせ、2%目標を明示し出来るだけ早期に、と時限を切りました。一方、政府は経済成長と財政再建の両立に向けたロードマップを描いていくことを明らかにしています。
かつてない次元の違う金融緩和政策。そして機動的な財政政策は、短期は思い切って、中長期はしっかり堅実に、と短期の景気刺激と中長期の財政再建との整合性を取らせています。しかも短期の財政出動も国民の命を守るための防災と日本経済の競争力強化と経済成長に資するインフラ整備に絞り込んでいます。
財政出動は短期的には効果はありますが、いつまでも続けるわけにはいきません。言わば、種火としての効果しか期待してはいけません。本体の薪は民間経済です。公共事業で点けた種火が、成長戦略で本体の民間経済に火を点けていかなければなりません。
民間経済人や学識経験者が「産業競争力会議」で問題提起をする日本経済の課題を、親組織であり全閣僚で構成する「経済再生本部」で総理から各大臣に指示を下ろし、出てきた回答をさらに「産業競争力会議」に下ろして揉む、という構図を通じてロードマップ上に政府がコミットをし、実現していきます。