国会リポート 第256号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

25日よりスイスのダボスで行われている世界経済フォーラムに総理の名代として出席しています。

今や世界の政府関係者の間で注目されているアベノミクス(安倍政権による新経済戦略)を世界に向けて発信するためです。

私が出席するセッションにはIMF専務理事や世界銀行の総裁や各国大臣が出席するメジャーなものです。

日本は長い間、デフレに悩まされ続けてきました物価の下落が消費の低迷を呼び、消費の低迷が生産の停滞を呼び、それが所得の減少に繋がる悪循環です。この負の連鎖を断ち切らねば、日本経済の発展はありません。負の連鎖を断ち切り、民需主導の経済成長に繋げていくシナリオが必要です。

大胆な金融政策、機動的な財政政策そして民間投資を喚起する魅力的な経済成長戦略を三位一体となって展開する戦略がアベノミクスです。

先般、政府と日銀は連携強化のための共同声明を発表しました。日銀は自らの責任で2パーセントの物価安定目標を掲げ、できるだけ早期にこれを達成するために大胆な金融緩和を行う。一方、政府は経済成長と財政再建の両立を図るためにあらゆる政策投入を行う。そしてそれらが順調に実現しているかどうかを両者が同席する経済財政諮問会議で検証していく。

機動的な財政政策とは、需給ギャップを埋め、成長戦略へとスタートを切らせる。短期は大胆な財政出動を行い、中長期は確かな財政再建へと繋げる。官需から民需へとスムーズに繋がるような財政出動の中身と成長戦略の設計としていく。

そして、一番の肝は、まさにその成長戦略の設計と実行シナリオです。安倍内閣の発足と同時に経済に関する二つの司令塔が立ち上がりました。経済財政政策の基本的方向性を示す、いわば基本設計を 担当する“経済財政諮問会議”と、成長戦略を設計しそれを実効性あらしめるものにし、実施のフォローアップ体制までカバーする、いわば実施設計の“産業競争力会議”です。

基本設計と実施設計がお互いキャッチボールをしながらプランとその実効性のブラッシュアップをしていく。

過去の反省、つまり「幾度となく成長戦略は作られましたがその実効性は上がらなかった。」という反省を踏まえ徹底的に検証し、新しい体制をスタートさせました。

成長分野は単に流行りのテーマを挙げる安易なものでなく、日本が抱えている課題を直視し、その解決が図られた将来社会のあるべき姿を戦略目標として設定し、そこに到達するための道筋を描き、必要な解決手段や技術及び産業や市場を特定する。

そうした、政府がしっかりコミットしたロードマップが民間投資を喚起する。そうして得られたソリューションは、今後同様な問題に直面するであろう海外の国々にパッケージとして輸出できる。つまり、産業投資立国のバックボーンとなるはずです。

ソリューション・輸出大国として海外の成長を国内に還元する。産業投資立国は付加価値創造のヘッドクォーターとしての日本の産業競争力を強化し、輸出競争力を強化し、貿易立国を後押しする。産業投資立国と貿易立国が相乗効果を発揮する、ハイブリッド経済立国として新たなスタートを切ります。

 

今週の出来事「勝率100%」

 

「甘利さんがハッパを掛けたおかげで日体大は箱根駅伝で三十数年ぶりに優勝したじゃないですか。」

取材を受けていた記者から突然こう切り出され、なんのことかと思いきや、昨年正月の座間市主催の市民駅伝でのことでした。ゲストチームとして、日体大チームが参加していましたが、その中に一人だけ箱根駅伝を走った経験のある選手が入っていました。

来賓の祝辞に立った私は、「前回優勝したチームの皆さん、連覇を目指して頑張ってください。それ以外のチームの皆さん、昨年よりも一つでも順位を上げるべく頑張ってください。日体大の皆さん、アマチュアに負けると廃部の危険性があります。」と言って、爆笑やら苦笑やら。

そのエピソードのことでした。

優勝を逃した他大学の皆さん、全校奮ってご参加ください。必ずその中から優勝チームが出ます。

私の言うことは100%当たります。全校参加すれば。