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民主党を離党した小沢一郎氏は今朝 (7/8) の NHK テレビで、民自公の談合で消費税増税を決めたことは国民に対する裏切りだ、と離党した理由を述べていました。
年金制度改革にとって何が一番大事かとの問いには、国民に約束した最低保障年金、誰でも月額 7万円は受け取ることができるこの年金を実現することが一番大事だ。それなのに第三者機関の協議に委ねたことが、最も民主党を支持した有権者を冒涜しているとの主張でした。
しかし、そもそも今回の一体改革には、民主党が 40年後に実施すると言っていた最低保障年金制度は入っておらず、その法案は改めて来年の通常国会に提出するというものでした。つまり今回の税の引き上げは現行制度を改善し、将来に渡って継続可能にするというものであり、よって 10%の消費税には最低保障年金の財源は含まれない、という仕切りなのです。今年、現行制度を元にした抜本改革を行い、来年それをチャラにした新たな抜本改革を行う、という民主党案の支離滅裂さを指摘し、現行制度を土台とした改革案とは異なるものを来年続いて出すとするならば最低保障年金の議論は第三者機関に預けよという主張をしたわけであり、そういう意味で最低保障年金案を政府に取り下げさせたというものです。
野田内閣が行なった閣議決定でも消費税を3年半後に10%にまで引き上げる財源は最低保障年金制度を外した改革分の財源であり、その上に最低保障年金を入れようとすれば、さらに 7.2%分の消費税が必要であると有識者が試算し、民主党もそれを認めたはずです。小沢さんの主張で行けば 17.2%に引き上げずに 10%に引き上げるのはけしからんという主張になってしまいます。
合わせて岡田副総理の最低保障年金に関する発言もコロコロ変わっていきます。マニフェストでは誰でも一人残らず消費税によって月額 7万円の年金が保証される、そういう意味では無年金者はゼロになるという主張でした。
ところが青天井の消費税引き上げが必要と有識者に指摘されるや、40年間掛け金を払った者しか 7万円はもらえないという主張に変わりました。
今でも 40年間掛け金を払えば国民年金は誰でも 6万6000円もらえるはずです。大言壮語した最低保障年金と現行国民年金とどう違うんでしょうか?
さて同じく今朝のテレビで大阪の橋下市長は生活保護者にたとえ少額でも受診時自己負担を入れるべきだ。最低限のコスト意識は持たせた方がいい、という主張に対し、長妻元厚労大臣は憲法で保証されている最低限の生活の権利に切り込むよりは、医療を供給する病院側の生活保護医療費の不正受給や過剰医療、過剰投薬を行政がチェックすべきだとの主張でした。
確かにその種の医療施設があるであろうことは否定しませんが、生活保護者側に最低限のコスト意識を持たせるだけでその種の事態は大幅に改善するはずです。
さらに言えば自己負担分を受給額に上乗せしたとしても医療費の無駄は大幅に削減されるはずです。
大阪維新の会の地方交付税廃止論は容認するところではありませんが、生保に対する改善策は私もかねてから主張していることです。
交付税に関して言えば、これは国による地方自治体への財源調整措置への根幹です。なくせば東京の一人勝ちになり、いくら消費税を地方税にしたところでたかが知れています。地方の自治体の歳入構造を見れば、交付税の占める重さが理解されます。
橋下氏からは、地方自治体間で豊かな自治体が貧乏な自治体に交付してやればいいとのことでしたが、送る方も受け取る方も住民間で歪な感情が発生すると思います。財源調整措置は国が主導で自治体間に負い目も優越感も感じさせることなく進めていくことが肝要です。