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いよいよ明日 (26日) 社会保障と税の一体改革法案が採決されます。
直近の情報だと、反対者は民主党単独過半数維持を割り込む 54名を超える数になりそうです。しかし、離党覚悟をしている者は 45名との事。その差は、反対はするけれども離党はしたくない、という覚悟のない人の数です。
輿石幹事長が「反対をしてもお咎めなし」のような事を言っていますが、造反者を減らすのには逆効果で、気楽に反対できるという事になりますから、党運営上も極めて稚拙なやり方です。そもそも、造反がある度に馴れ合い対応をしてきたツケが今日に至っていると言っても過言ではありません。
自民党は、意思決定がなされるまでは侃々諤々、「これでもかっ」という議論がなされますが、幾多の党内手続きを経て最終決定したものについては一枚岩で対応していきますし、その上での造反者には厳罰で臨んでいきます。そうした手立てが取れない政党は、単なる「烏合の衆」でしかありません。
社会保障の制度を維持していくための財源を赤字国債に依存しているという体制は、社会保障自身の存続に赤信号を灯らせます。
年金・医療・介護の 3つを社会保険制度として行なっている国は日本とドイツと韓国しかありません。スウェーデンを始めとする北欧諸国は措置費として国費で行なっていますが、そのために 25%前後の消費税を必要としています。
おまけに、日本で言えば医療費の 2割を占める末期医療は、北欧諸国では、ホスピスとして痛みだけ取り人間の尊厳に配慮して生命維持装置による単なる延命治療は行なわないという方針です。
体中、チューブで繋ぎひたすら患者に苦痛を追わせるだけの末期医療から、苦痛を取り去り、安楽に人生の終末を静かに迎えるという医療に切り替えるという決断、すなわち、患者の尊厳を尊重すると同時に医療費の大幅削減にも繋げるという福祉先進国北欧諸国の現状をどう考察するかが日本の今後の課題です。
今後、亡くなる人の 2人に 1人はガンによるものになると言われています。大掛かりなガンの手術には数百万円の実費がかかりますが、保険ならびに高額医療費制度によって自己負担は十数万円で済みます。その差額は他の保険加入者と公費によって賄われているわけですから、病気にならない体を作るという事と早期発見をする体制を整える事が、医療費の削減に貢献していきます。
あわせて社会保障分野の無駄の削減として、生活保護の改革が指摘されています。働くよりも生活保護を受けたほうが高収入という事では生活保護から脱する気にはなれないでしょうが、生活保護費が支給された夜には病院に担ぎ込まれる急性アルコール中毒患者が急増するという現実が生活保護の機能不全を象徴しています。
生活保護費がギャンブルやアルコールに費やされるという現実から、どう脱せさせるか。細かな制度設計が必要です。
受給者医療費が全額無料の現在の制度改正も必要です。生保患者に例え 500円でも自己負担をさせるという事が「救急車使い放題」「通院タクシー乗り放題」「俺、生保だからジェネリックじゃない薬にしてくれ」等、『大名通院』を減らし、真に医療を必要とする者に迅速な道を開く手立てにもなります。
政権交代後、3年間で生活保護受給者が 150万人から 210万人へと増加し、措置費が 2兆 7千億円から 3兆 7千億円へと増加した直接の原因は、ばら撒き政策によりますが、依存心を蔓延させつつある政策から、自民党の主張している「自立心を後押しする」政策への転換が必要です。
社会保障と税の一体改革ではなく、社会保障と税と経済再生の三位一体改革こそ必要な所以です。