総 覧
震災後 3ヶ月が過ぎ、送り出す方の役をしていた私も、復旧状態の視察と現地の要望の変化を確認すべく現地入りいたしました。驚いた事は、がれきの除去すらほとんど進んでいないという事実です。
重機やダンプが大量にがれき除去に投入されているのかと思いきや、あっちでポツリ、こっちでポツリと、まるでボランティア活動のような状態。道路の部分が片付いて積み上げられたという状況からほとんど脱する事ができていないという驚きでした。
現地の商工会議所の役員を始めとする青壮年の方々と 2時間ほどやり取りをいたしましたが、がれきの捨て場が近くに確保されておらず、ダンプに搭載する際には事前に分別をせよという要請、単価の算定が不明確で手作業で行われる畑と機械で処理される市街地とのコスト面での配慮がされていない等々、迅速に処理するための現場のニーズが把握されていないという事が分かりました。
事前の情報で、国会議員が大量に現地入りするけれども現場の要望を聞いて帰るだけでその後何の対応もなされず中間報告すらない、写真を撮って自分のブログに載せるだけ、という冷ややかな反応が来ていましたので、極力現場から関係省庁に直接電話で要請する事にいたしました。
国土交通省のトップに連絡を取りますと「環境省がやっていたのですが、最近は手に負えないので手伝って欲しいという要請が国交省に入っている。」との事。現場の作業に入っている建設業界等々から実態をよく聴取してスピードアップが図れるような対処をして欲しいと要請いたしました。
また、漁業関係者からは「復興プランも良いが、何年もかかるようなものを待っている間、生活ができないようでは困る。暫定的な漁業の対応ができるような施設を立ち上げて欲しい。」という要望があり、その場から東京に問い合わせたところ「他地域はその対処をしているが、満潮時に水面下になってしまう気仙沼には対処が遅れている。」との事。直ちに水産庁と連絡をとり協業事業として二次補正に組み込むことを確認いたしました。
商店街の仮設店舗への中小機構のスキームの停滞や雇用調整助成金の能力開発加算の柔軟適用については、中小企業庁ならびに厚生労働省と連絡を取り、解決の方向が見出されました。
避難所での問題は、夏に向けてニーズが変わってきているという事でした。夏物衣料は、下着類は供給されているようですが、上に羽織る女性物が足りないという事。夏に向って衛生状態の悪い中で臭気と病気の発生が心配される、特に蚊が大量に発生をするという事で、蚊帳の調達ができないかという相談もありました。その点は経団連に協力要請するという事で後日報告することにいたしました。
知り合いの企業から、人体に無害な消臭・消毒水のスプレーを 10ダースほど提供してもらいましたので、各地に配布できるよう置いてきたところ、大変感謝されました。
また、避難所から仮設住宅へと卒業していった方々は、その日から食糧支援を受けられず義援金も満足に届かずいきなり生活困窮状態になるという事で、避難所から仮設住宅の入居者に対し食糧支援をしているという状況だそうです。
「来年の 100万円より、今の 10万円です。何とか義援金を迅速に配布してもらえないでしょうか。」 これも切実な声でした。
また「被災県の中で受けられる支援を、親戚を頼っていった他県でも受けられないか?」この要望も宿題としていただいてきました。
被災現場、避難所、そして復旧・復興に携わる地元関係者と慌しい一日でしたが「あなたのような人なら、是非もう一度来て頂きたい。」と、最後にかけられた言葉に勇気をもらいました。