総 覧
少しずつ機能し始めたと思った災害対策本部ですが、各省庁実務部隊から悲鳴があがっています。
原因を探ってみると、対策本部や対策会議が次から次へと発足し、合計28 にもなり、それぞれがてんでんバラバラで横の連携も取れず物事がまったく決まらないという事です。
各会議が担当する個別案件を他部署と調整してまとめる人が誰もいない状態で、朝から晩まで会議が開かれているだけで、何一つ結論が出ないとの事。本来、各部署間の調整役は官房長官の仕事ですが、枝野氏は日々の記者会見を乗り切ることに頭がいっぱいで、実務の調整をする余地も意欲もまったくないとの事です。
加えて、政府のフォローをするべき与党民主党は、事実上休眠状態。最高指揮官の総理はといえば、記者会見だけ強気で乗り切ることに全精力を注ぎ、普段は官邸執務室で抜け殻状態。
各対策本部の責任者として配置された民主党の各議員はいまだ野党感覚のまま。会議では自己主張をするだけで、責任者としてまとめようとする意識もないとの事。
各方面から、夏前には全体が行き詰まってパンクするという警鐘が水面下で鳴らされています。
4月 11日に総理会見で計画的避難区域を発表しましたが、事務方から「モニタリングポストの数が少なくラフな測定になるのでポストの数を増やして正確な測定をした後に発表すべきだ。」と進言されたにもかかわらず、震災後 1ヶ月の区切りということで記者会見が予定されており、記者の追求を避けるために新しい話題を提供するという事で、拙速に決定してしまいました。
のちにモニタリングポストを増やして精緻な測定をしたところ、対象区域からはずれる地区がいくつも出たにもかかわらず、「発表してしまった以上、面子があるから」と変更しない始末。
仮設住宅に関しても、総理が「お盆までには全員に入って頂く」と発表しましたが、国交省に確認すると、用地すら確保されて居らず、とてもそんな状態ではない、との事。大畠国交大臣は記者会見での質問に、ぶ然とした表情で「いつまでに完了するという事が分かっているなら、それは私の方から発表します。」と、総理の根拠のない発言を痛烈に皮肉る始末。
何事も、菅総理や枝野官房長官の思いつきが検証もなされずそのまま発表され、更には言ってしまった事は取り消さないためのアリバイ作りが後付けで行われる。これが現状のようです。
自民党は、下から議論を積み上げ実行可能なマニュアルとしてまとめた提言を順次政府に提出しています。このシナリオ通りにやってくれれば間違いないから、という言葉を添えて手渡しています。
「連立をして協力をしてやれ」というお話があるのは承知しておりますが、菅総理のやり方を撤回しない限り組織が機能せず、自民党と組んでもやっぱりダメだったというアリバイに使われるだけです。
菅さんが退いて今の体制を撤回し対策本部を一つにまとめ指揮命令系統を一元化し、その指揮を執る大臣に権限や人事を一元化する。私どもが復興再生院の創設を提言しているのは、その院長たる大臣のもとに指揮命令系統を一元化し省庁間の横の連携を効果的に図るというための物です。
政府がなすべきは、我々の提言を受け入れ、今の体制を一掃する事です。