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前原誠司外務大臣の辞任は菅政権の断末魔の叫びとなりそうです。
次は細川律夫厚生労働大臣の年金不適切対処問題へと飛び火していきます。
サラリーマンの妻は、主人の厚生年金納付をもって自動的に国民年金に加入していましたが、脱サラで主人が厚生年金を脱会すると、その妻も新たに国民年金に加入しなければ受給権を失います。
手続き漏れを起こしていた人を払った事とみなす超法規的措置を、当時の長妻厚労大臣は独断で、しかも一篇の課長通達で行ってしまったという事ですからまさに愕然とする事態です。
将来、兆円単位の事態になり兼ねない措置を、大臣の判断で勝手にやってしまって良いわけがありません。当時副大臣として、細川現大臣が判断に携わったわけでありますから、当然責任が発生します。いよいよ菅政権は沈み行く舟となりつつあります。
最近のテレビの特集、特にテレビ朝日の予算関連法案に関する報道は極めて政権擁護のバイアスのかかった報道となっています。
予算関連法案が成立しないと、輸入牛肉や重油が高くなるとか、子ども手当てがなくなると負担増になるとか、まるで予算関連法案の成立に野党は協力すべきだというような論調です。
マスコミが作ったダメ政権をどこまで擁護すれば気が済むのでしょうか。
かつて自民党政権も、現在と同様ねじれ国会を経験しています。その時には、つなぎ法案を出すなどして国民生活に影響が出ないように、政権の責任として対処をした経緯があります。
民主党政権は「輸入品の軽減措置が期限切れをして高くなってしまう」とか、「子ども手当てが児童手当に戻ると増税になる」とか主張していますが、国民生活に影響が出る案件についてはそれだけを抜き出して対処をさせれば良いだけの話で、それには野党も間違いなく協力いたします。
その努力すらせず国民生活を人質にとって、まるで悪徳商法の抱き合わせ販売のようにろくでもないバラ撒き政策も一緒に梱包して販売しているようなものです。
「生活必需品を購入するためには、不必要な不良品まで購入しなければ売ってあげない。」まさに悪徳商法そのものです。
そして、その悪徳商法を奨励しているのが、テレビ朝日等マスコミと言っても過言ではありません。
自民党が新年度予算のバラ撒き阻止になぜこだわるかと言えば、民主党自身の財政再建構想を実現するためには、来年度予算から取り組んでいかないと実現不可能になるからです。
数兆円に及ぶ新規のバラ撒き政策は無駄の削減によって捻出すると約束しながら、それができず赤字公債によって続けている状況は、早く軌道修正しないと民主党自身の財政再建目標に届かないどころか、その意思すらないと市場に評価されてしまうからです。
2015年までに基礎的財政収支の赤字を半減し、2020年までになくすと先般宣言した以上、2011年度からスタートしなければ最初からやる気がないという事になってしまうからです。
財政再建の各年度ごとの設計と経済成長の中長期を見越した制度設計は、車の両輪として相当な決意を持って提示していかなければ誰も政権を信用はしないのです。