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平成23年の幕が開きました。今年のキーワードは『取り戻す元年』としたいと思います。
政権を取り戻すための元年はもとよりでありますが、失われてしまった日本の誇りと自信を取り戻す元年にしなければと思っています。
選挙制度が中選挙区から小選挙区に変わって政治家の粒が小さくなったとか、強烈な個性がなくなったとよく言われています。
確かに中選挙区の時代では、当選の順位を落とそうとも信念を通すという事が可能でしたが、小選挙区では過半数の理解を得なければなりません。
いきおい、政治はポピュリズム (大衆迎合政治) に走りがちになると懸念されましたが、自分自身を振り返ってみても、議席を失ったらやるべき事も達成できないという思いが頭をよぎり、有権者に対して厳しい事は言いづらくなったと実感しています。
しかし同時に、国民を説得する能力、政治家の弁舌がより問われる制度であるという事も事実です。
こういう場面でいつも思い起こすのはアメリカの第35代大統領 J・F・ケネディの就任時の演説です。
集まった数万人の聴衆を前に「皆さんは、新しい大統領が、そして新しいアメリカが、自分たちに何をしてくれるのかを期待していると思います。しかし、国が何をしてくれるかを期待する前に、国のために何ができるかを、ぜひ考えて頂きたい。国に対して何ができるかを考える人が増えた分だけ、きっとこのアメリカは良い国になっていくはずです。」
言い回しは違いますが、趣旨はそういうものでした。
社会を構成する要素に、自助・共助・公助の『三助』があります。自助とは、自立に向けて己の努力をする事。共助とは、互いが支えあう事。公助とは、自助・共助でカバーできないところを「公」、つまり国や自治体がカバーする事。
三助の順番は、自助・共助・公助の順のはずですが、現政権はまず「公助」ありき。「国民は何の努力もしなくて結構です。国が何でもしてあげますから。」という方向に日々向いつつあると思います。そこから、財政事情を無視したばら撒きが行われています。
恒久的政策を赤字国債でまかなうという、かつて取った事のない手段に手を染めてしまった、いわば、遂に麻薬に手をつけてしまったという事です。この政策を続ければ続けるほど、脱するのは不可能になっていきます。
政権交代後の 1年 4ヶ月の間に、生活保護世帯は 120万世帯から 140万世帯に増加いたしました。経済の悪化とあわせて、まず公助ありきの精神が自助の努力を蝕んでいると懸念します。
生活保護を受けず、同等の収入で自立しようともがいている人達を助ける政策に、より重点をおくべきではないでしょうか。「自立を支援する。」自立の意思を尊重し、これを支援する国家こそ活力と希望に溢れた国家であるはずです。
生活保護制度の、入りやすく脱しづらいという設計にも問題があります。自助努力で他に収入を生み出すと、その分だけそっくり、行政からの支援は削られます。新しく得た収入の半分でも残っていれば、次第に自立への努力は加速されるはずです。
この国は支えられる者だけで成立はしません。支える者が多くなればなるほど国の活力は増していきます。
かつて官邸で開かれたある会議で、民間有識者として出席していた障がい者団体の代表が「我々の目標は、『障がい者よ、納税者たれ!』というものです。我々が国を支えよう、という気概を持つ事です。我々が求めるのは、自立のための支援です。」と発言されたのを、感動を持って拝聴いたしました。
まず公助ありきから、自助を支援する社会へ。日本を再生するキーワードにしたいと思います。