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予算委員会の論戦がスタートいたしました。鳩山総理以下、大臣の答弁を聞いていますと、質問には答えず漠然とした観念論や持論の展開に終始しています。
もちろん、答弁技術としてはそれもありだとは思いますし、自公政権でもそういうテクニックが時に使われはしましたが、しかしそれに終始する事はなかったはずです。しかも、大臣答弁の際には真摯で丁重な姿勢が常に要求されました。挑発するような事を言えば、必ず国会は紛糾しますし、時には国会審議も止まります。しかしながら、現総理以下の答弁は、挑発や開き直り、そして責任転嫁の連続であるにもかかわらず、悪びれたところは全くありません。
加えて、民主党は、まるで野党時代のように野党席や入り口付近まで傍聴する議員が押し寄せ野次を飛ばしている始末。政権党は真摯に受けて立たなければならないという自覚がゼロのように思われて、この国の行く末に殺伐とした荒涼感を覚えます。
相変わらず、議員宿舎には夜中まで数十人の記者が表にたむろし、薄気味悪い異様な風景が毎日展開されています。民主党に情報管制がしかれている中で少しでも情報を取ろうとする記者たちの努力ですが、知り合いの記者が「相変わらず鳩山内閣は、ほとんど情報公開をしてくれません。民主党本部はさらに輪をかけて発言禁止令でも出ているような状態で全く情報公開されません。いつからこの国は北朝鮮になってしまったんですかね」とぼやいていました。
事後の調査によれば、国民の多くは政権交代を支持してもマニフェストの細目は支持していないと答えた人が過半数を超えています。5兆5千億の子ども手当てしかり、2兆5千億の高速道路無料化しかり、2兆3千億のガソリン暫定税率廃止しかり、後期高齢者医療制度の即時廃止しかりです。
役所の幹部を集め、マニフェストを右手で掲げながら「ここに書いてある事しかやってはいけません。みんな肝に銘ずるように」と叫んでいる大臣の姿は、まるで毛沢東語録を掲げる、かつての中国共産党指導部のようです。
配る政策を並べる前に、稼ぐ政策を作らなければならないのは、企業経営も国家経営も同じです。経済成長戦略を詳細に組み立て、成長予測をし、税収予測をし、その中で配分政策と財政再建を両立させていくプランが必要です。まず配分ありき、その原資は節約からでは本末転倒になります。
景気対策の予算執行を止め、公共事業を凍結したお陰で回復基調に入っていた日本経済は一挙に腰折れの様を呈してきました。年末から年明けにかけ、地方では建設業を中心に倒産の嵐が吹き荒れそうです。
旦那の会社が倒産し、奥さんには子ども手当てを支給する、本末転倒の政策に国民が危機感を抱くのは自分の会社が倒産してからでは遅いのです。
司令塔が不在なのも気がかりです。経済戦略を構築すべき経済財政担当相を兼ねる菅副首相からは何の情報発信も行われて来ませんし、内閣の調整役を務めるべき平野官房長官には、全体をまとめる意思も意欲もなさそうです。
アメリカとは一触即発で、中国はアメリカに気兼ねし、ASEAN は疑心暗鬼。こんな状況をどうしてマスコミは危機感を持って伝えないのでしょうか。前述の記者が「年内は黙っていますけれども、さすがに年が明けたらそうはいきません」と言っていましたが、まじめに考えれば考えるほど危機感が募っていきます。
それにしても、政治資金総額の 7割はでたらめだったという鳩山総理。年額約1500万円の政治資金団体の事務所家賃も未申請、加えて 7200万の株式譲渡益も未申告。
はちゃめちゃなのにテレビはお咎めなし。一体、この国は法治国家なのかすら疑わしくなりました。