総 覧
信じられない事態が発生しました。月曜日 (2009年 7月 27日) に鳩山代表が記者会見までして発表した民主党のマニフェストが、2日後に取り下げとなりました。
そして鳩山代表は地方遊説の席上「あれはマニフェストではない。本当のマニフェストは選挙の公示日までに発表すれば良い」と言い出しました。
マニフェストがプレスリリースされた時に、鳩山代表や岡田幹事長は「我々はマニフェストを出した。まだ出していない自民党は後出しジャンケンだ!」とまで批判していたにもかかわらず、この事態です。
取り下げた理由は明らかです。マニフェストを発表した途端、大阪府の橋下知事らが「民主党のマニフェストでは地方分権がないがしろにされていて、これではまったく評価に値しない」と酷評したからです。その途端、慌てて取り下げて作り直そうとしたわけです。
PTA からクレームが付いて書き直す学芸会のシナリオではあるまいし、クレームが付く度に「実はあれは本当のマニフェストではありません。次に出すのが本当のマニフェストです」と、投票日まで言い続けるつもりなんでしょうか。
最初のマニフェスト会見で鳩山代表は「この政権公約 (マニフェスト) が守れなかったら、私は責任を取ります」とまでおっしゃったはずです。マニフェスト自体が取り下げになる場合にどういう責任を取られるのか、ぜひ伺ってみたいものです。
これに限らず、選挙が近づいたこの時期の民主党は基本政策がブレっぱなしです。
テロとの戦いを支援するインド洋沖での自衛隊の給油活動についても、国会会期中はあれだけ反対しておきながら、政権を取った場合には外交の継続性から当面続けると言い出しました。ではあの騒ぎは何だったんだろうかと思っていたところ、社民党の福島党首から「それでは約束が違う。そんな事なら連立は再検討する」と言われた途端「やっぱり給油活動は止める」と言い直す始末です。
どうやら、党首や幹事長や政策責任者の間でさえも重要政策の摺り合わせが出来ていないらしく、その場その場の思いつきで発言しているように思われてなりません。
何度も言っておりますけれども、政権を担当するという事はその日から国民の生命と生活を預かる責任が一手に覆い被さり、いばらの道が始まるという事です。その覚悟がどこまで出来ているのか、疑わしくなります。
日本の有権者は賢明だと言われます。確かに最近、駅頭で我々のビラを受け取る人が急に増えてきました。民主党に生命と生活を預けて本当に大丈夫なのだろうか、という事を現実問題として真剣に考え始めた人達が増えてきたのだと思います。
そもそも、先般鳩山代表が発表したマニフェスト (今ではマニフェストもどきと呼ばなければならないんでしょうが) は、行政サービスの大安売りです。
『高速道路を無料にする』『ガソリンの税金を半分にする』のはありがたい事ですが、通行料をゼロにすれば、高速道路を建設するための約35兆円の借入金を通行料で返済していたものを、高速道路を使わない人や免許証すら持っていない人からの税金で返済しなければなりません。
1人当たり 2万6千円の子供手当ても、中学生以下の子供が 2人以上居る家庭にとっては減税になりますが、それ以外の家庭すべてにとっては増税になります。実に八割の家庭で増税になるというトリックを何人の人が気づいているんでしょうか。
基礎年金に代わる最低保障年金は、消費税で払うと 4割の人は貰えないという事になります。10人の内 4人は 40年間保険料を払って来たのに貰えない、国家による詐欺と言われても申し開きができなくなるんではないでしょうか。その上、民主党のマニフェストは平年度ベースでは新たに 17兆円の財源が毎年必要になります。『節約で出します』『埋蔵金で出します』人口減少化の中で経済を大きくするプランも何もない。
本当に任せて大丈夫なんでしょうか。