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いよいよ (2009年 6月) 25日から国家公務員制度改革法案を審議入りさせる事が党の方針として決定しました。審議入りに難色を示していた野党の了解が得られれば、国会提出後 3ヵ月にしてようやく論議がスタートいたします。会期も残り少ないので何とか成立に向けて与野党の努力を期待いたします。
そもそもこの国家公務員制度改革法案は、昨年成立した国家公務員制度改革基本法の要請を具体化するためだけの実施法です。昨年の基本法は、民主党はおろか社民党まで賛成し、国会議員の実に 9割が賛成して成立した法案である以上、対決法案となるはずもありません。マスコミは何とか政局の目玉の一つとしてこれを使いたがるようですが、政争の具にされないように運び方は慎重にしていかなければなりません。危惧される事は、この法案の中身を離れ、野党は天下りを糾弾する会議に、与党は労働組合の違法ヤミ専従を糾弾する集会にしてしまう事です。
そもそもなぜ天下りが発生するかと言えば、上へ行けば行くほどポストの数が減っていくために肩たたきをして自主的に公務員をやめてもらう『勧奨退職制度』に根源があります。人員整理の名のもとに何の瑕疵もない公務員の首を切る事ができない以上、本人の同意を取り付けなければなりません。子供を抱え、家のローンも抱えている公務員を辞めさせるためにその後の仕事を斡旋する事で、本人同意による退職であるという体裁を整えるためです。
民間企業でも、何の瑕疵もない従業員を使用者側の一方的都合で首切りをする事ができない以上、この天下り防止対策を抜本的にとっていくためには、真面目に働いている限り定年まで勤め上げることができる体制を作っていく事が必要です。
今の給与体制のまま全員を定年まで抱えるとすると、人件費は相当膨らんでしまいます。定年まで勤め上げられる体制の整備と全体の人件費を抑制する制度を、合わせ技で時間をかけてやっていかなければ総人件費削減計画との整合性もとれません。天下り禁止法という法律で明日から天下りをなくすという事は、非現実的であるとともに極めて無責任なウケ狙いとしか言わざるを得ません。すでに法改正により不透明と言われる各省斡旋による再就職支援は禁止され、真に求人側のニーズに合った情報提供機能としての中立的機関である官民人材交流センターに一元化される事が総理の英断で決定いたしました。もちろん、いくつもの団体をハシゴする『渡り斡旋』は即刻禁止されておりますので、天下り禁止の抜本対策はすでに軌道に乗っているという事になります。
国家公務員制度改革法の本来の目的は、基本法第一条にある通り、内外の社会・経済情勢の変化に機動的に対応できる組織・人員の再配置が内閣主導のもとに行われるようにするところにあります。総務省や人事院の顔色を窺いながらポストの数や重要度を決定するという本末転倒の作業から人事当局が解放され、真に必要なところに人材を再配置するという事を可能にする改革です。
企業経営も行政運営も真理は一つ、ダーウィンの進化論です。すなわち『時代を超え、歴史を超え、生き残る種とは力の強い種でもなければ体の大きい種でもない。環境の変化に対応する能力を持った種のみが生き残る』
日本の行政制度も、そして我が自民党も時代の変化を先取りし、己に取り込む事ができるかということを試されているのです。