総 覧
1月 23日に、総理から新しい行革の工程表を作るよう指示がありました。数ヶ月間、私を中心に内閣官房で検討を重ね、新たなプランをまとめて先日総理に提出いたしました。現在も、総人件費改革や独立行政法人改革、公務員制度改革や新たな規制改革など、10項目を推進中です。毎年かなりの成果を挙げておりますが、それに加えて新たな視点から行政改革を考えて欲しい、という総理からの要請に応えたものです。
アイデアマンの私がやる以上、まったく新たな視点から行革を考えてみようと思い立ちました。
確かに、今日まで行革を進め国家公務員や地方公務員の人数を 5年間で 5.7%純減する事や、公益法人等の基金の見直しによって 2,800億円の資金を国庫納付させたり、独立行政法人を 17 廃止民営化したり、特別会計を 31 から 17 に削減したり、等々相当な成果は挙げつつあります。しかし、国民の視点から見れば「自分たちにとって何のメリットがあったの?」「役人の数を減らすと行政サービスは良くなるの?」「窓口の待ち時間は人を減らしたら短縮されるの?」等々、疑義はあったわけです。
歳出を減らすという事は間接的には国民の利益になる事です、と説明してきましたが、新しい行革手法では行政サービスの受益者たる国民が行革の成果をじかに享受できるものとしようと考えました。つまり、今までの行革が『量の行革』としたら、これからの行革は『質の行革』です。
すなわち、ユーザーたる国民の「顧客満足度」を引き上げようとする試みです。
「顧客満足度?民間ではよく聞く話だけど行政で聞くのは初めてだなぁ。」と、麻生総理。
「えぇ。民間の発想を随所に入れようと思います。トヨタの『カイゼン』方式も入れていきます。」
まず、国民の『窓口行政』に対するニーズがどこにあるかを把握し、改善の目標値を掲げる。その上でその業務が作業開始から結論が出るまでの工程、すなわち業務工程を分析し、その最適化を図る。ある部分は IT 化を促進し、ある部分はアウトソーシングを進め、ある部分は作業自体を廃止する。そうした業務工程革新を通じて、待ち時間の短縮や結論が出るまでの時間を短縮する、等々。
この手法は民間では BPR (ビジネス・プロセス・リエンジニアリング) と呼ばれて、業務部分の再構築に使われる手法です。
さらに、それらに資する改善提案を職員からどしどし出してもらい、良いものは採用し、大臣表彰をし、人事査定に取り入れていく。トヨタの改善方式です。
今までの行革はコストを減らし人を減らし無駄を減らす手法で、これはもちろん続けていきますが、今度は、待ち時間を減らし結論が出る時間を短縮し顧客満足度を上げるとともに、テレワークを推進して新型インフルエンザ等の場合も自宅で行政業務が遅滞なく遂行できるという革命的な手法です。
6月末の骨太方針 2009 に向けて、詰めを急ぎたいと思います。
スタートしたら、一年目は試行期間、二年目は本格実施、三年目以降はオートマチックに進んで行く体制を作りたいと考えています。