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いよいよ 4月 27日から新年度経済対策の審議が始まります。事業規模 57兆円、真水 (財政出動額) 15兆円の史上最大の作戦です。審議を尽くしつつ可能な限り迅速に成立させ、一刻も早く国民のもとに届けなければなりません。従来の景気対策と趣を変え、一過性のものは極力廃し、執行した後にも経済効果が連続的に拡大するよう知恵を絞った事業内容です。
まず、中小企業・中堅企業、そして大企業まで含め資金繰りに万全の体制をとります。政策金融公庫や信用保証協会の融資枠・保証枠を拡大し、あわせて政策投資銀行を通じて大企業事業会社に出資も可能と致します。資金繰りの対策に加えて、仕事繰りの対応もぬかりなく行います。資金手当てをしてもらっても、仕事がない限り企業は業績を回復できないわけですから、仕事を生み出す手助けを行います。
一つは公共事業の追加ですが、従来野党から批判をされていました作った後に経済効果が出ない公共事業ではなく、作った後にも効果が継続する、ミッシングリンク (繋がっていない環状線) に象徴されるように繋げる事によって完成後に全体の効能が発揮されるようなもの。イノベーションを興す研究開発で言えば、従来型で大学別に同額をばら撒くやり方から取り組んでいる研究者にまとめて予算付けをする新しいやり方を盛り込んだ基金設定。また、将来の日本のアドバンテージを確立する環境技術やコンテンツの開発と世界展開。子育て支援で言えば単なる児童手当ではなく、安心こども基金を通じた保育所の延長保育や病児保育の拡充、育児休業終了後の職場復帰の際の短時間雇用、出産関連費用の無料化や女性特有の癌検診の無料化など、総合的な子育て支援に積極的に取り組んでいきます。
補正予算が成立する以前から省エネ家電 (地デジテレビ、冷蔵庫、エアコン) は、5月 15日から、環境対応自動車は 4月 10日に遡って、減税や補助金やエコポイントが受けられます。
つまり、資金繰りの後は仕事繰り、仕事繰りの後は付加価値創造と連鎖して日本経済がプラススパイラルに繋がっていくような創意工夫を凝らした経済対策です。
やればら撒きだとか公共事業主導型だとかテレビにおもねってステレオタイプに叫んでいる評論家がいますが、今回の経済対策の哲学をほとんど理解していない人達です。一月ほど前に総理と懇談した時、私の考え方は披瀝させて頂きましたが、その想いは随所に表現されています。
将来は東アジアの経済連携協定を実現し、その中で日本がイノベーションセンターになる。この構想こそ、輸出立国と内需拡大の整合性をとる外需の内需化に資する遠大な構想です。