国会リポート 第158号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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いよいよ 4月 27日から新年度経済対策の審議が始まります。事業規模 57兆円、真水 (財政出動額) 15兆円の史上最大の作戦です。審議を尽くしつつ可能な限り迅速に成立させ、一刻も早く国民のもとに届けなければなりません。従来の景気対策と趣を変え、一過性のものは極力廃し、執行した後にも経済効果が連続的に拡大するよう知恵を絞った事業内容です。

まず、中小企業・中堅企業、そして大企業まで含め資金繰りに万全の体制をとります。政策金融公庫や信用保証協会の融資枠・保証枠を拡大し、あわせて政策投資銀行を通じて大企業事業会社に出資も可能と致します。資金繰りの対策に加えて、仕事繰りの対応もぬかりなく行います。資金手当てをしてもらっても、仕事がない限り企業は業績を回復できないわけですから、仕事を生み出す手助けを行います。

一つは公共事業の追加ですが、従来野党から批判をされていました作った後に経済効果が出ない公共事業ではなく、作った後にも効果が継続する、ミッシングリンク (繋がっていない環状線) に象徴されるように繋げる事によって完成後に全体の効能が発揮されるようなもの。イノベーションを興す研究開発で言えば、従来型で大学別に同額をばら撒くやり方から取り組んでいる研究者にまとめて予算付けをする新しいやり方を盛り込んだ基金設定。また、将来の日本のアドバンテージを確立する環境技術やコンテンツの開発と世界展開。子育て支援で言えば単なる児童手当ではなく、安心こども基金を通じた保育所の延長保育や病児保育の拡充、育児休業終了後の職場復帰の際の短時間雇用、出産関連費用の無料化や女性特有の癌検診の無料化など、総合的な子育て支援に積極的に取り組んでいきます。

補正予算が成立する以前から省エネ家電 (地デジテレビ、冷蔵庫、エアコン) は、5月 15日から、環境対応自動車は 4月 10日に遡って、減税や補助金やエコポイントが受けられます。

つまり、資金繰りの後は仕事繰り、仕事繰りの後は付加価値創造と連鎖して日本経済がプラススパイラルに繋がっていくような創意工夫を凝らした経済対策です。

やればら撒きだとか公共事業主導型だとかテレビにおもねってステレオタイプに叫んでいる評論家がいますが、今回の経済対策の哲学をほとんど理解していない人達です。一月ほど前に総理と懇談した時、私の考え方は披瀝させて頂きましたが、その想いは随所に表現されています。

将来は東アジアの経済連携協定を実現し、その中で日本がイノベーションセンターになる。この構想こそ、輸出立国と内需拡大の整合性をとる外需の内需化に資する遠大な構想です。

 

今週の出来事「原 (腹?) の探りあい

 

先日、久しぶりに原監督と会食を致しました。以前から、リーグ優勝したらお祝いの会をやろうと言っていたのが延び延びになってしまい、そのお陰で WBC の優勝祝いとする事ができました。

決勝の韓国戦で 9回裏に同点に追いつかれた時には見ていられない心持ちになりましたが、「あの時、監督としてはどういう気持ちだったんですか?」と聞いたところ、「いや、どうって事なかったですよ。『あぁ、追いつかれたな。でも、延長になればこっちのものだ。向こうは選手を使い切っているし…』という気持ちでした。」との事。

昔、ジャイアンツの監督に復帰する前に、「年収は落ちるでしょうに、そんなに監督ってやってみたいもんなんですか?」と聞いた事がありますが、「いやぁ、監督ほどやりがいのあるものはありませんよ。年収がどうのこうの云う話ではないですね。」と原氏が答えてくれましたけれども、やはり天職として冷静な采配を振るっていたんだと改めて感心しました。

「松坂、どうですか?」「う~ん…ちょっと体が大きくなり過ぎたのでどうかな?という点はありますが、しかし才能溢れるピッチャーですよ。」「楽天の田中や岩隈は?」「いやぁ、彼らは素晴らしいピッチャーです!田中は 4年経ったら堂々たるエースでしょうし、岩隈も素晴らしいピッチャーです。」

野球談義に花が咲いて楽しい 2~3時間でした。いつも思う事ですが、原監督は本当にナイスガイです。

偶然にも翌日、楽天の三木谷社長が別件で大臣室に来られたもんですから、「三木谷さん、昨日原監督が岩隈投手や田中マー君の事をベタ褒めしてましたよ。」と言うと、途端に心配そうな顔になって、「まさか巨人に欲しいなんて言うんじゃないでしょうね?!頼むからそんな気にならないように大臣から原監督に言っといてください!」

『う~ん、今年のストーブリーグの話題はこれだな!』