国会リポート 第121号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

小泉首相の政治手法を批判して 『小泉劇場』 なる命名をし、政権を批判し、それにのってしまったと懺悔したはずのテレビは、今度は 『テレビ民主主義』 どころか 『ワイドショー民主主義』 の様を呈し始めました。

ほとんど内容を理解していないレポーターが 『改革を進める政治家と抵抗勢力』 という、かつて自身が批判し反省したはずのやり方を自らが再現しています。改革とは問題提起をした者が、それが正しいか否か議論をして結論を出すという事であります。改革を提案するものが、その正当性を事務方や閣僚間の議論で立証していかなければなりません。

ワイドショー民主主義は議論する事すら葬り去ろうとしています。単なる思い付きの提案だろうと、その結果自体が悪くなろうと、提案者の提案に 100% 賛成しないものは抵抗勢力との図式は極めて危険な道を歩みつつあると心配しています。

議会制民主主義とは、議論の結果出した結論の良し悪しは国益に適 (かな) うかどうかという判断基準で計るべきです。ワイドショーのプレイアップに乗ってしまった善良なる市民が 「甘利さん、損だから何にも反対しない方が良いよ」 と心配してくる図式は私にとってはかえって深刻な事態に映ります。国を憂う政治家はたくさん居る事、民主主義とは議論の上に立って結論を出す事、その結論の良し悪しは国益に適っているかどうかという客観的な物指しで計るべき事。『面白ければそれで良い』 視聴率第一主義からの脱却こそ、日本の発展に必須のものと言えましょう。

国会審議の中で、与党のみならず野党からも 「太鼓持ち演説をするつもりはありませんが、甘利大臣は非常に良くやっていると評価します。」 と言われている私が、国益を第一に行動しないはずはない事を有権者の皆様にはご理解を頂きたいと思います。

昨日 (12 月 14 日) の、政府の経済財政諮問会議において福田経済成長戦略の骨格が了承されました。その中身は私が省内で議論を積み重ねてきた内容がほぼ全面的に取り入れられました。『日本から経済を抜いたら何も残らない』 と揶揄されてきた、その経済が岐路に立っています。

経済成長要素の一つである労働人口が減っていく中で、確かな成長を果たしていくという、かつて経験した事のない事への挑戦です。一言で言えば 『世界の成長センターたるアジアの成長に自ら貢献し、その成果を共に享受する。さらに、日本が世界とアジアとの繋がり役を果たしていく。科学技術や環境技術を駆使し、世界の発展に貢献をしていく。』

これぞ 『目指すべき国のすがた』 です。

 

今週の出来事「虚言探査衛星?

 

海外の閣僚の中に甘利ファンがたくさん出来た事は、すでにお知らせしてありますが、そのコツは分かりやすく核心をついた真剣な議論と、当意即妙のユーモア感覚です。

このコンビネーションは日本の政治家には苦手とされていますが、私が最も得意とするところです。

先日も、OECDのグリア事務局長と朝食をしながら、1 時間余のバイ会談を行いました。会談が終わると立ち会った局長が 「いやぁ~、まるで掛け合い漫才を見ているようでした!」 私の会談では通訳の女性が思わず吹き出してしまって訳すのが遅れてしまう事が時々あります。

資源探査衛星 2 基を使ってアフリカのレアメタル調査を約束した後のパーティで 「将来、日本の科学技術の発展から考えれば、資源のみならず閣僚の皆さんが仕事に行くと言ってゴルフに行っている事まで探査できます。是非スクランブルをかけて欲しいという希望者は私に申し出て下さい。」 爆笑の渦でした。