国会リポート 第113号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

年金問題で、国会は大揺れです。本当は政策によって選択肢があるような問題と違って、政権の如何にかかわらず未来永劫、安定的に継続させていくべきこの種の問題は政争の具にすべきではなく、スピード感を持って解決していくことが望まれるはずですが、選挙を目前に控えていると野党もおいそれとは応じない様です。

個々の年金データを、基礎年金番号を導入し、手書きの資料から電子化・コンピューター化していく際の年金記録の統合問題に、いまだ未処理分があるというのがそもそもの原因です。

平成 8 年、参議院本会議で当時野党だった公明党の山本保彦議員が 「基礎年金番号導入の諸課題について、国民の間に心配する声があるが大丈夫か?」 と当時の厚生大臣であった菅直人氏にただしたところ、「徹底した対策を講じ、万全を期して行います。」 との答弁記録が残っております。何故十年も経つのにその作業が終了していないのか、と不思議に思われますが、後々、社会保険庁労働組合が管理者側と交わした 『労働慣行文書』 が次々に発覚するや、現場の職員モラルが救いようもないほど低下していた事が暴露されました。

これらの資料を見ていると、かつて 『いかに働かないようにするか』 という取り決めを管理者側に結ばせていた、トップを変えるぐらいではどうにもならない状態に陥っていたあの国鉄改革を思い起こさせます。国鉄を民営化した最大の狙いは人事権がきちんと機能する、つまり働く意思のないものは最悪の場合は解雇できるという民間ルールを導入する事でした。今回、公務員型でない非公務員型とするのも、きちんと機能する組織にするために必要なことだと思います。

時効で受け取れない年金部分が発生する受給者に対して、立法措置で時効を停止させ受け取れるようにすることは、受給者の不安を払拭させる当然の行為だと思いますが、民主党をはじめ野党が反対している意味が良く分かりません。

「もらえなくなるのをもらえる様にする時効の停止はすぐにでもやってもらいたい。」

みのもんた氏の発言はその通りだと思います。

 

今週の出来事「餅はソバ屋!?

 

地球温暖化を防止するために、CO2 排出量のかなりの部分をしめている自動車交通を改善することは、画期的な貢献といえます。そこで、経済産業省が主体となって自動車業界・石油業界・電力業界等と連携を取り、次世代の自動車と次世代の燃料、そして次世代の社会インフラの三つを同時に革新していくプロジェクトがスタートしました。

2050年までに、世界の CO2 排出量を半減させるという安倍総理イニシアティブを実現する具体策の一つです。そこで、現在開発されている次世代自動車の試乗会を総理官邸の庭で開催しました。

短時間充電ミツビシ電気自動車、ホンダ燃料電池自動車 (現在価格 1 台 1 億円超?)、マツダ水素ロータリー自動車 (現在価格5千万円?)、日産クリーンディーゼル、そして発売されたばかりのレクサスハイブリッド。燃料のほうも、電気・バイオエタノール・水素と勢揃いしました。

総理と手分けで実際に試乗してみました。いずれも極めてスムーズで、すでに実用化している技術です。石油連盟の会長が、パームヤシからバイオディーゼルができる過程を説明しつつ 「こんな事やっていると石油が売れなくなるんですけどね。」 と説明すると、試乗会後の締めの挨拶で安倍総理が 「次世代の自動車と燃料で地球環境に貢献できる事は、画期的な事です。なんといっても石油会社が 『脱石油』 と言っているくらいですから…」 と応えて一同爆笑。

実は経済産業大臣車には次世代自動車のレクサスハイブリッドが入りました。四百数十馬力で、15 モード燃費が何とリッター 12.2 キロ (ちなみにベンツは 6 キロ) です。日本の技術って凄いですね。

もちろん日産 (地元企業) も!

「あぁ気を遣う…。」