国会リポート 第99号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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秋篠宮殿下、紀子様ご夫妻に新宮様が誕生されました。心からお慶びを申し上げます。

男女の別を申し上げると失礼に当たるかと存じますが、男子誕生は嬉しさの中でホッとされているむきも多かろうと思います。皇室に 41 年ぶりの男子誕生というニュースは、男女同権という議論は脇に置いて明るさが増すニュースです。

しかし、これで皇統継承問題が解決した訳ではありません。皇室の女性、内親王は結婚されれば一般人になられて皇室を離れられる訳ですから、何の手も打たなければやがて新宮様以外に、宮家は消滅してしまいかねません。今回の慶事を機に落ち着いた議論をしっかりとすべきでしょう。

さて、いよいよ総裁選がスタートしました。安倍さんの独走で消化試合だと揶揄する向きもありますが、陣営内にはこの所、緊張感が漂ってきました。と言うのも二位争いが熾烈になり、「安倍さんの当選は既定事実だから当方を二番にしてくれ。」 という勧誘が始まったからです。皆にそんな事を言われたら、フタを開けたら意外な苦戦となりかねません。党員票はそこまできめ細かい作戦は打てぬにしても、議員票では有り得る事です。

先週末、党本部で三候補の所見表明演説会がありました。20 分という限られた時間にそれぞれの個性溢れる政見発表がされました。聞き終わって 「さすが自民党は人材豊富」 というのが多くの人の感想でした。麻生氏は 「今よりも歴史に評価される政治家たり得たい」 と決意を述べれば、谷垣氏も 「非難を浴びようとも現世代のツケは後世に残さない」 と応じました。小選挙区になればあらゆる層の支持を集めなければならず、八方美人になりポピュリズム (大衆迎合主義) に陥りやすいものですが、各候補ともなかなか覚悟が座っていると思いました。

もちろん、安倍候補の演説は極めて格調高く 「この国の形」 から始まる演説は、さすが生まれついたるプリンスと思わせるものでした。『戦後レジーム (体制) からの脱却、開かれた保守主義』 とは、日本の歴史、文化・伝統・自然、そしてそれらが育んできた倫理観、公の精神、地域コミュニティや家族など日本の歴史が育んできた価値を再認識し、それを日本人の誇りとしてその土台の上に改革をオープンに進めていくものだと思います。

格差が固定しないように、人生のあらゆるライフステージで再挑戦を可能とし、複線のレールを敷設していく。地域社会の人的・歴史的・自然的資産をコラボレートさせ、地域の発展のエネルギーとする等、開かれた保守主義の理念から各論まで凛とした内政・外交政策が系統付けられていました。

戦後世代初の総理として、たくましくデビューしてほしいと思います。

 

今週の出来事「ダブルスタンダード

 

「おれが拓さんとの仲をとりもつ会合をセットするから、幹事長とあなたに是非出てきてもらいたいんだ。」

安倍支持を内々表明して頂いている深谷先生のところに表敬訪問をした際、こう声をかけられました。

山崎会長と武部、甘利との関係は新聞報道されているほど深刻なものではないんですが、派内は相当やきもきしている様です。

自分が主催していた会合を中座し参加いたしましたが、程なく武部幹事長も合流。当初の緊張感は 2、3 杯ビールを注ぎ合えばどこへやら。いつもの和気あいあいとした雰囲気になりました。

「今日の勘定は是非私に持たせてください。いや、次の会も持ちます。」 と武部幹事長が申し出ると、

「じゃあ、今日の勘定は学割じゃなくて定価にもどしていいよ。」 と深谷先生が女将に声をかけ、一同爆笑。

宴会の基本。

『主催する時には質素に。呼ばれた時には豪勢に。』