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小泉政権が発足してから毎年 6 月には骨太方針、1 月には改革と展望の基本方針年度見直しがそれぞれ閣議決定されます。骨太方針は翌年度の予算編成に向けた基本的考え方であり、改革と展望は 5 年先を見越した構造改革のプランを毎年見直していくものであります。
毎年 6 月に決定する骨太方針は、今年は 7 月 7 日の閣議決定までずれ込みましたが、一番厄介な歳出改革を党の責任で仕上げたものですから、それを受けて行うシーリング (各省予算要求の上限) の作業は、むしろ早く済んでしまいます。
財政再建のため、すべての予算は原則削減されますが、日本経済を確かな成長軌道に乗せ国民に夢を与える 『成長戦略政策』 用の予算は別枠で三千億円取ることになりました。財務省はしっかりしたもので、一番難しい歳出カットプランを自民党政調会が取りまとめた際には正に奇跡と評価していたのにも関わらず、成長戦略用の予算を取るなら更にその分だけ削ってくれと悪乗りをしてきました。さすがに中川秀直政調会長の鶴の一声で、事実上別枠という事が内定しました。この三千億円の別枠には要求する際、当然縛りがかかります。
- 需要追加型の事業でない事。
- 民間投資や需要を誘発する種銭となるような構造改革型事業である事。
- それらを踏まえて新規性のあるもの。
というものです。従来、構造改革型別枠予算なるものを設けても、普通の予算要求に構造改革型とタイトルを付けるだけで平然と要求してくる省庁が後を絶ちません。今回は厳しいハードルになります。
さて先般、朝日新聞系の CS 放送であるアサヒニュースターから出演依頼がありました。各党代表が個別にインタビューされ収録された訳ですが、各人冒頭、小泉政治の五年間を漢字一文字で表現してください、との要請がありました。
福島社民党党首は破壊の 『壊』 の字を掲げ、何もかもぶち壊してしまったと説明し、民主党の仙石政調会長は沈没の 『沈』 と書き、日本の位置を相当低めたと説明し、共産党はアメリカに屈した 『屈』 を掲げました。一方、与党公明党の神崎代表は闘争の 『闘』 と書き、色々な既得権益と闘ってきた五年間と説明されたようです。
私は、決意・決断の 『決』 と書き、「郵政民営化もトップダウンで決め、不良債権処理も、まず政府が決意を示して経営者の決断を迫った。相談した挙句に結論が出ないという政治ではなく、まず決断してその後具体的な行程を組む方式を取った。だからこそ、根雪のようにしこってしまった問題が解決できた。」 と説明しました。
それぞれが自党の物差しで小泉政治を評価し、面白い企画であったと思います。