国会リポート 第94号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

小泉内閣最後の国会が終わりました。

20 日火曜日の夜、中川秀直政調会長ともども、財政再建チームが小泉総理から食事に招待されました。当初は総理公邸で…という話でしたが、急遽 『維新號』 という有名な中華料理店に変更になりました。丸テーブルで私の右が小泉総理、左が安倍晋三官房長官という席立てになりました。

この種の会食の時には深刻な話題はほとんど出ないで、日常の他愛もない話が主になります。話題が NHK 大河ドラマ 『功名が辻』 に及ぶと、いよいよ総理の弁舌は冴えて来ます。本当に総理は時代劇がお好きのようです。

会食の中で出た政治的な話では 『小沢民主党は脅威か?』 という件で、むしろ小沢さんが党首として参院選を戦った方がやりやすい、という結論になりました。旧自民党の権力構造の象徴たる存在の小沢さんが民主党の代表として指揮を執れば、本来持っているべき民主党の良さが殺されてしまうという点で、皆の意見の一致をみました。つまり、古い自民党対新しい自民党の戦いになるからです。

話題は村山内閣の成立にまで及び、政党の求心力は与党でいる事が大きな要素になる。あそこで思い切ってああいう奇策に出たから今日がある、という話に及んだ時に 「実はあの時、海部俊樹と書いたんです」 という者が何人か名乗りをあげました。つくづく色んな歴史を辿って我々は今日に至ったんだなという思いを新たにしました。酒席では艶っぽい話も結構出たりするのですが、外に出るとカメラが待ち構えていますから取材を受けた時に喋る内容は打ち合わせしてから外に出るのが通例です。

ところで、現在の私はと言えば、中川政調会長率いる日本の財政再建を成し遂げるチームの次席責任者として、土日も返上で働いています。7 月の上旬には来年度予算編成に向けた、いわゆる骨太の方針が作成されますが、それに向けての編成作業が佳境を迎えています。

従来の関係で言えば自民党は予算を増やせの大合唱、財務省は予算を削れの大合唱、これがぶつかりあう構図ですが、今回は自民党及び与党自らが、無駄を無くす・非効率なシステムは改善するという本来財務省主計局がやるような作業に率先して取り組んでいます。歳出を削減できない分だけ増税が待っているという構図になりますから、党内の猛反発を抑えながら自民党史上誰もやった事がないような大改革に政調会長を中心にチャレンジをしているわけです。

予算を拡大することを仕事として来た与党に、自ら削減する事などできるはずもないと高をくくっていたであろう財務省も、我々の真剣な取り組みと粘り強い努力に驚愕と尊敬の目を向けるようになってきました。この事が成し遂げられれば自民党結党以来の快挙という事になります。

 

今週の出来事「痛いのスキ?!

 

日本の経済を牽引していく主力産業は現在も自動車産業ですが、最近注目を浴びているのがコンテンツ産業です。コミックやアニメ・ゲームやキャラクターは子供のオモチャを脱し、日本の文化や経済を牽引していく一員になりつつあります。

そこで、経済成長戦略の項目にコンテンツのインターネットポータルサイト構築を加えました。音楽から映画・演劇、能・歌舞伎に至るまで、日本の文化コンテンツ 200 万アイテムに数ヶ国語でアクセスできるサイトです。

コンテンツ産業振興議員連盟会長という立場もあり、私の会合にはマンガ家も出席する事があります。

先日の横浜でのパーティに漫画家の冨樫義博・武内直子夫妻が出席してくれました。奥様はかつて、セーラームーンで一世を風靡したコミック作家です。

後日、私の話を聞いて感激した、という手紙と共にセーラームーンの色紙が送られて来ました。主人公が微笑む隣に決め言葉 『月に変わってお仕置きよ!』 が添えられていました。

「あぁ、こんな可愛い子になら是非お仕置きされたいなぁ。」…あれ?!