国会リポート 第91号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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元農相・運輸相の亀井善之代議士が 70 歳という若さで亡くなりました。

多くの議員にとっての精神的支柱であり心の拠り所とも言える政治家を失って、その痛手は計り知れません。与党のみならず野党からもこれほど敬愛をされた議員は極めて少なかったと思います。秘書でご子息の善太郎君の話によれば、1 年 9 ヶ月前の農相退任時の健診ですい臓癌が発見された時にはすでに肝臓に転移し、余命数ヶ月と家族は宣告されたとの事でした。「病気の事は誰にも言ってはならない」 と家族に箝口令を敷き、病を押して同志の選挙応援に全国を飛び回り平静を装って党務に閥務に邁進をされた姿には、ただただ頭の下がる思いです。

派内にあっては領袖の山崎氏に対し、厳しい忠告も含めて進言できる人で、亀井先生が話せば山崎氏も素直に耳を傾ける、そんな存在であっただけに、山崎派にとっての損失は言葉にする事もできない程です。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

さて、国会も余す所一ヶ月となりました。今国会中に成立させなければならない重要法案は、医療制度改革・テロ等組織犯罪未然防止法 (共謀罪)・そして教育基本法です。日経新聞は 12 日に、前の二つはともかく、教育基本法は極めてタイトな日程であるがゆえに、そのための会期延長があると報じました。

同日午後、小泉総理にお目にかかると開口一番 「会期延長は全く考えていないから。今朝の新聞報道はデタラメだから。会期内に何としても重要案件を処理してもらいたい。」 との話がありました。言ったことはブレないのが売りの小泉首相ですから、100% 会期延長はないものだと思います。取り沙汰されている訪米やサミットの日程を考えれば、さもありなんという事でしょう。

中川秀直政調会長に同行し官邸を訪問した理由は、財政再建の取り組みの際にその後ろ盾としての経済成長が大事ということで 『成長戦略大綱』 を政府与党で作成する事、さらには閣議で総理から各省大臣に協力を要請してもらうためでした。かつてない程の歳出カットに、党内の反応はどうかと問われましたが 「担当主査を始め出席議員は覚悟をきめて取り組んでいるだけに、今のところ順調に運んでいます。議論に参加をしていない一般議員が参加してきた時が勝負だと思います。」 「ふ~ん。かつての自民党では考えられない情景だな。今までの自民党だったら今頃消費税の大増税になっていたろうな。」

与党の国会議員は政策予算の増額要求をするもの、というのがかつての常識でしたが支出の無駄を項目ごとに徹底的にカットするという、まるで財務省主計局の査定の様な事を本格的に自民党が行うのは結党以来の出来事です。これが成功したなら中川自民党政調会は歴史に名を刻むことになります。

 

今週の出来事「新名称?

 

最近、テレビ出演の機会が増えてきました。

真面目な政治討論会にはなるべく出るようにしていますが、問題はバラエティ番組への出演です。各種のクイズ番組から出演依頼が来ますが、その種のものは全てお断りをしていました。しかし 『太田光の、私が総理になったら』 という番組には、企画の面白さから二度ばかり出演してみましたが、選挙区では賛否両論でしたので、しばらく止めようと思っておりましたら、番組から今後も出て欲しいとの強い要請がありました。

30 分放映するのに 1 時間半収録する番組ですから、放映して欲しいと思う発言部分が編集で随分カットされてしまいます。バラエティに出演するたびに総理への道が遠のいて行くような気がしますが、これからはバラドル (バラエティ・アイドル) ならぬバラシャン (バラエティ・ポリティシャン) とでも呼んで下さい!