総 覧
1月7日から12日まで、山崎拓先生のお供で副団長としてASEAN 4 カ国 (マレーシア・インドネシア・シンガポール・ベトナム) を訪問してまいりました。
実は、この間に私の後援会の賀詞交換会が二ヶ所あったもんですから、遅れて途中合流する旨を連絡をしたところ、山崎先生から再三再四要請があり 「当分選挙はないんだから奥さんを代理に出して最初から参加してくれ。非常に重要な訪問になるので」 との事でした。それほどならば、と生まれて初めて自分の賀詞交換会に家内を代理で出しました。(『奥さんの顔が見れて、かえって良かったよ。今までで一番良かったと皆言ってるよ。』 と後援会役員から言われると複雑な心境ですが…)
私は苦労してビデオでの挨拶を始め、大変な思いをしたのに、当の山崎先生は三千人も集めてさっさと自分の賀詞交換会は済ませ、オマケに次期総裁選出馬宣言までするもんですから 「ひどいじゃないですか。人には 『代理対応しろ』 と言っといて」 と抗議をすると 「アハハハ!」 でおしまいでした。
三年半前、当時の山崎幹事長と ASEAN を訪問しましたが、この三年間で様変わり。中国の影響力が次第に大きくなっているのを肌身に感じました。ASEAN への経済援助は日本がダントツの一位で中国の数十倍です。しかも、その中国は日本の経済援助が発展を担ってきた訳ですが、昨年の国連安保理常任理事国入りの件では執拗に日本に反対するよう ASEAN を説得して回っていました。その結果、ASEAN 十カ国のうち明確な支持表明をしたのはベトナムとシンガポールだけでありました。
日本の最大の経済援助先インドネシアのユドヨノ大統領も 「日本は国連分担金においても PKO 活動においても高く評価されており常任理事国たる資格は十分にある。ただしインドネシアが支持を表明するかは協議中だ」 と従来の答弁を繰り返していました。賛成してくれたベトナムで事情を聞くと、中国からの圧力が再三再四あったとの事でした。にも関わらず ASEAN 各国で 「中国はFear (恐怖) ではあるけれど Threat (脅威) ではない。恐怖は得体が知れないという事だが、脅威は相手側に侵略の意思がある、という意味なので中国には脅威はない」 と口調を揃えていたこと自体、中国の影がヒタヒタと押し寄せているという外交的深刻さを肌で感じました。
インドネシアの副大統領やベトナムの外務大臣に 「中国と日本を天秤にかけて援助競争をさせようとするなら大間違いです。日本はあなた方のパートナーですが、中国はあなた方のライバルなんですよ。世界の工場たる中国から五分の一でも十分の一でも外国投資を奪い取ってこなければあなた方は永遠に中国の下請け国に甘んずるんですから」 と言いましたら、同席した日本大使館の参事官が 「目から鱗が落ちる思いです。ああいう言い方をする政治家に初めて会いました。」 と絶賛をされましたが、山崎先生からは 「まるで教師が生徒に講義をしているみたいだなぁ」 と冗談っぽく言われました。次の総理の重要な政策課題は、まさにアジア外交です。