国会リポート 第102号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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いよいよ安倍晋三総理と小沢一郎民主党代表の直接対決、いわゆる党首討論がスタートいたしました。

老練な政治家が新人総理をどう追い詰めていくか、期待された向きもあったようですが、結果は私の予測どおり安倍首相の圧勝、民主党支持者からはため息が漏れました。

もともと、小沢代表はディベートを得意としていません。テレビ出演でも編集できる収録形を嫌い、生放送の、しかもインタビュー形式に限定します。小沢代表のディベートには菅さんの様なねちっこいいやらしさはありませんが、良く言えば紳士的でも、野党党首の迫力が感じられません。

さて、私の関係する経済産業委員会もスタートいたしました。各党質問者が異口同音に 「商工族の…いや、あの、専門家の大物が経済産業大臣に就任をされました」 と切り出すものですから場内は大笑い、私は苦笑い。族議員とはちょっと人聞きは良くありませんが、私はライフワークとして通商産業政策に取り組んできました。と言うのも、すべての政策の原資を生み出す、国の富を作る政策だからです。

『富は創造しなければ分配はできない』 とは中川秀直幹事長の口癖です。世の中には分配論ばかり主張する議員が多いのですが、原資を大きくする政策を語る議員は意外と少ないと思います。私は一貫して国富を生み出す政策があって初めてそれを分配して進める政策論が存在すると信じています。

経済産業大臣室には、連日入れ代わり立ち代り外国の閣僚が訪れます。先日会談したオランダのヨープ経済大臣は、資料を見ると若手のハンサムボーイで、会談の冒頭 「ブラッドピットが来たのかと思った」 と切り出すと、「今日の会談はそれだけで意義があった」 と大喜び。親日派であるヨープ大臣は 「以前、日本企業のケイレツに関する本を読んだ事があるんですが、日本の発展の秘密とは何ですか?」 と聞かれました。

「教育レベルの高さや勤勉な人間性、協力し合う国民性、色々ありますけれども、間違いなく言えることは、困難に立ち向かった時ほど日本経済は発展した、という事実です。オイルショックに直面した時に省エネ技術は飛躍的に向上し、性能が良い省燃費の日本車は今、世界を席巻しています。高賃金と向かい合った時、生産性は向上し、高品質で競争力のあるものが生み出されて来ました。逆境を順境に変える力が日本を発展させました。」

黙って私の話を聞いていたヨープ大臣は 「今日の甘利大臣のお話はとても勉強になりました。」 感激の面持ちで固い握手を交わし、退出しました。

多い時には一日に三カ国の要人との会談をこなしています。

 

今週の出来事「今日の楽しみ

 

朝から晩まで分刻みで次から次へスケジュールが組まれるものですから、今や楽しみは昼飯だけ。

秘書官室の女性が 11 時前後に 「大臣、今日のお昼は何にされますか?」 と注文を取りに来ますので、いくつかある階下の食堂のメニューからルンルン気分で選びます。カレーライスに始まってドライカレー、オムライス、カニコロッケ弁当ときて、今はビーフシチュー定食にはまっています。職員の評判を聞きながら色々トライをしています。

そう言えば役所の地下にスターバックスが入ったものですから、SP と秘書官とで行って来ました。昼休みの時間を過ぎていたせいかガラガラでしたが、私の顔を見るなり驚いて入るのをやめる職員が何人かいたのは、役所のトップ (大臣) と同席ではリラックスできないからか、昼休みを過ぎている後ろめたさかよくわかりませんが、後者だとしたら心配はいりません。

仕事中でもコーヒータイムを取った方が能率が上がるなら、どんどんそうしてください。うちの秘書なんかコーヒータイムの合間に仕事をしてますから。