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12 月 1 日に来年度予算編成の基本方針が与党で承認されました。
この方針に従って予算の総額と中身のメリハリ、つまり選択と集中の各論を年末まで議論し、来年度予算案を編成いたします。現在の我が国の予算内容は、借金の元本はおろか利息を返済する事すらその年の収入ではできず利息を返すために新たな借金をする、いわゆる自転車操業の状態です。さらに言えば利息以外の一年間の経費をその年の収入で賄う事ができず、その分も加えて新たな借金をするという状況です。
そこで利息払いの為の借金は認めるとして、それ以外の経費はその年の収入で賄おうとするのが基礎的財政収支の均衡、つまりプライマリーバランスの均衡です。この均衡をとるのに 15 兆 9 千億の穴埋めをしなくてはなりません。
収入を増やして支出を減らす。その事を通じて 15 兆 9 千億の穴埋めを 7 ~ 8 年で実行しようというのが目標です。この二年間、毎年 2 兆円以上縮めてきましたから、このペースで行けば 7 ~ 8 年で実行できると思いがちですが、ところがどっこい社会保障給付費の自然増は、どう抑え込んでも現状維持とはとてもいきません。GDP の伸び率をはるかに超えて増えていきますから、その分も他のところで収支の帳尻合わせをしなければならないというのが頭痛の種です。
小泉総理は、来年度は去年の 2 倍、4 兆 4 千億の節約をせよと指示を出しているものですからてんやわんやです。無理をしてその年だけ帳尻を合わせても景気が失速してしまっては、その分だけ税収が減り、穴が大きくなってしまいますから元も子もありません。節約をしながら景気を拡大するという事に、今我々は取り組んでいます。
ところで、来年度の予算を組む前に来年度の収入を確保しなければなりません。そこで来年の税金を決める為の議論が、自民党税制調査会で、今スタートしました。
私も副会長ですから幹部会で積極的な提言をしている所です。景気対策のために導入をした定率減税は来年 1 月から半分廃止され、再来年から全廃される見通しです。
所得税が事実上増税されるので、バランス上法人税も増税をすべきだという議論があります。これは一見正論のようで実はとんでもない間違いです。企業業績が上がって、まずそのお金が企業自体の不良債権処理に使われ、次に設備投資に使われ、続いて従業員の賃金に還元されていきます。
賃金が上がれば消費も増えますから、景気を牽引していく設備投資に続いて個人消費に火がつくわけです。奇妙な公平論で経済を論ずると全員平等に貧困になります。