国会リポート 第77号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

お陰様で先の総選挙に大勝する事ができました。174,361 票という得票は全国第3位だそうで、有り難いを通り越して期待の大きさに身が引き締まる思いです。神奈川 13 区は厚木基地・キャンプ座間と日本を代表する二つの基地問題を抱えながら、この票を頂いたと言う事は責任の重さを痛感いたします。

厚木基地の航空機騒音は硫黄島への代替基地設置により、かなりの部分の解消は実現いたしましたが、三宅島或いは瀬戸内海の無人島への全面移転への取り組みは、いずれも移転先での革新勢力を中心とする反対運動のために頓挫してきました。一年ほど前から山口県岩国市の米軍基地海上沖合展開にあわせて、現地の国会議員と連絡を取りながら環境整備に努めて来ましたが、いまだ薄氷を踏む思いです。

一方、キャンプ座間に関して言えば、地元は安保条約の必要性とそれによる基地提供義務に鑑み、現状維持は受け入れて頂いていますが、強化拡大については拒否がコンセンサスであり米第一軍団に加え自衛隊の新たな即応部隊の設置に及んでは寝耳に水の事でもあり、地元住民に納得できる説明がない限り私としても了解する訳には行きません。極東アジアの安定のために米軍のプレゼンス (存在の影響力) は必要かくべからざるものと認識しておりますが、安保条約と配置米軍との関係、トランスフォーメーションによる地元負担軽減と抑止力維持との関係等々解明をしなければならない部分は多々あります。

さて、自民党の大勝は郵政民営化是か非かというシングルイシューによる小泉戦略の勝利と報じられていますが、一方で民主党の戦略の失敗による敵失勝利とも言えます。

民主党は解散に追い込みさえすれば自動的に勝利は民主党のものになると考え、郵政法案を否決する事にのみ捉われ、仙谷政調会長に至っては反対派の亀井静香氏と協力し自民党反対派の選挙区には民主党候補を立てないなどというオファーを個人的にしたりしました。つまり解散に追い込むためには政策の一致もクソもないという無策が解散後の戦略を縛ってしまった原因であり小泉劇場の傍観者にならざるを得なかった結果に繋がります。 民営化の理念とは、国は国がやらなければならない事に専念するために、国がやらずともできる件は極力国から独立させていくという方向性が大事という事です。

 

今週の出来事「政治家のこだわり

 

今回の改選人事は、内閣も国会も党もひと月だけ全員留任で、11 月の 1 日か 2 日に改造に伴う全面入れ替えという事になりました。そこで私も本会議で再度予算委員長の指名を受け、ひと月だけ続ける事になりました。

議場を出てくると同期生の町村外務大臣が

「予算委員長再任おめでとうございます。」

とニヤニヤしながら言うもんですから

「そういえば、弱い弱いと言われてたけど選挙強かったじゃない。」

と返すと

「そうなんだよ。17 万票を超えて、全国 3 番目とからしいよ。」

「いや、3 番目は俺!あなたは 4 番目!!」

・・・たとえ 5 百票差といえどもベスト 3 とベスト 4 では大違いですから。