国会リポート 第73号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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これを書いている今は 7 月 2 日 (土) ですが、5 日 (火) の本会議で、いよいよ小泉内閣の命運を賭けた郵政改革法案が採決を迎えます。マスコミの調査によれば、自民党内での離反者が 67 名におよび、その内の 25 名が棄権から反対に廻ると野党の反対と併せ法案が否決される危険性が出て来ました。

小泉総理は自身の最大のテーマである郵政民営化を掲げて総裁選や総選挙を戦った以上、否決されれば自分への不信任と受け止める、と明言いたしました。不信任が通れば総辞職か解散しかありません。総理は 100% 解散を選択すると思います。しかも淡々と決断するので、その際には誰も止める事は出来ません。そうした選挙では少なくとも反対票を投じた者は非公認となるでしょうし、自民党自体が自爆への道へと進みかねません。そうした事態は何としても阻止しなければならないと思っていますが、それはすなわちこの法案を成立させる事しか選択肢は残されていません。小泉総理にしてみれば、数十年間郵政民営化を掲げてきた自分を承知で総裁に選んだ以上 「何をいまさら」 という思いでありましょうし、ライフワークとして取り組んできた政策の実現は全てに優先する、と考えているのだと思います。

反対派の多くが法案の中身もさることながら対応の不親切さを批難していることからして、何とか理解を求める手立てはあるのではないかと現在奔走しています。

賛成派も反対派も、このままでは郵政公社はいずれ立ち行かなくなる (現状では郵便事業の赤字を金融事業でカバーしているが、手足を縛られたままではやがて金融事業も赤字に転落する) との認識では共通しているので、公社のまま自由度を与えていくのか、自由度を与えるなら民営化するのか、という選択になります。官業のまま自由度合いを拡大していけば、官業の民業圧迫の誹りは免れません。仮に民営化して弊害が出るようならまた形態を考えるという事も可能ですので、冷静に対処したいものです。

原案の修正を総理は反対派に譲歩して飲んだ事でもあり、反対派も譲歩の姿勢を見せてもらわないと政界はカオス状態に突入します。反対派のシンボルたる綿貫前議長と小泉総理の真摯な話し合いを衷心より願っています。

 

今週の出来事「最強の側近

 

7 月 5 日、郵政改革法案が万一否決された際には、直ちに選挙準備に入るように全秘書に指示を出しました。幸い選挙区内に三千箇所設置してある看板に新しいポスターを貼り終えた所ですので、いかなる候補者より準備は進んでいるとは思いますが、選挙ばかりは開票してみないとわかりません。

昨日、都議選の応援に行ってたと思えば、今日は自分の選挙の心配と、気が休まる暇もない職業です。でも、そんな事を家内に言おうもんなら

「イヤならやめれば?」

と言われるに決まっているので口が裂けても言えません。って言うより、気が休まらない生活をちっとも苦と思っていない自分に気づきました。

ナイーブな私が、いつの間に逞しくなったんだろう。最近では

「政治家の中ではナイーブな私…」

と言うようにしています。