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現在、予算委員会で平成 17 年度予算案の審議中ですが、今年の 4 月 1 日から使用する予算ですので、3 月 31 日までに成立をさせる必要があります。予算案に限って言えば、衆議院で可決すれば 30 日以内に自動成立する決まりになっていますので、素直に考えれば 2 月中には衆議院を通過させる必要があります。しかし、かつての自社対立の 55 年体制の悪しき慣行とも言える 『予算審議を引き延ばす事が野党の得点』 と勘違いした思いが現在も引きずられています。
かつて予算委員会止め男と言われた社会党の大出俊国会対策委員長は 「我々の努力で今回は 2 ヶ月間の暫定予算を勝ち取った!」 などと党内外に宣言をした事があります。つまり、予算の審議を 2 ヶ月間遅らせてその間、暫定予算を組まなければならない状態に追い込んだ、という事を野党の成果として高らかに宣言した訳です。しかし国家予算は自民党の物でもなければ与党の物でもありません。国民のために使う物ですから、国民の物なのです。平たく言えば 2 ヶ月間国民を困らせる事を勝ち取ったと宣言している事と同義語であります。
もちろん、政府が作成した予算案に不備があるなら徹底的審議で改善点を指摘する事は重要な事ですし、まさに予算委員会の議論の本質はそこにある訳です。必要なら野党なりの予算案を提出して、組み換え動議を提出するという事も問題提起の一つです。しかし成立を遅らせる事をもって野党の存在感を示すやり方は 55 年体制時の悪弊ではないでしょうか。審議を尽くし、問題点を指摘し、期限内に成立をさせる。この事が何より重要です。
特に現在の民主党はかつての社会党と違って、現実に政権を目指している政党です。常に自分達が与党になった時の事をシミュレートしながら個々の政策や国会運営に対応していく事が求められます。民主党は責任野党である事が、いま何より求められています。