総 覧
先日、一週間アゼルバイジャンとフランス (特許庁長官との会談) を訪問してきました。昨年秋よりアゼルバイジャン共和国アラスガロフ国会議長より私への招待状が外務省宛に届いておりましたが、総選挙もこれあり、機会を逸しておりました。外務省からそろそろ行っていただけないかとの打診もあり、自民党の正式派遣団として訪問議員団 5 名の団長として行きました。
滞在中、正副議長はもとより、アリエフ大統領、シャリホフ日本担当副首相、グリエフ外相等々、要人との会談を精力的にこなしてまいりました。
アゼルバイジャン共和国は 1991 年にソ連邦から独立したコーカサス地方の国であり、その首都バクーの油田は世界最古の油田として名高く、百年前には全世界の産油量の半分をまかなっていました。近年、カスピ海沿岸に新たな油田が発見され、日本にとっても重要なエネルギー拠点となりつつあります。
日本はアゼルバイジャンへの ODA (政府開発援助) 最大供与国ですが、訪れる国会議員も少なく、現地日本大使館としては待望のデレゲーションでした。
要人会談では異口同音に日本の ODA の続伸を要請されましたが、世界最大の石油積み出し基地となるサンガチャル石油基地においては、日本をはじめとする数カ国の石油会社が共同出資して合弁会社をつくり、出資率の一番高いイギリスの BP (ブリティッシュペトロリアム) が全体のオペレーションをしていました。
投資額が 4000 億にならんとするパイプラインは日本の国際協力銀行の低利融資によるものであり、日本が最大のスポンサーであるにもかかわらず、現地の評価は全て BP の手柄になってしまっていました。そこで大統領や外相と会談した際、きちんと日本の貢献が国民に伝わるように、強くその努力を要請しました。会談後、藤原大使からは 「よくぞ言って下さいました」 とお褒めを賜わり、議員団からは、
「甘利団長は臆せずに言うべきことをはっきりと言う人なんですね。外交交渉はかくあるべし、と感心しました」
とのお世辞をいただきました。
私の経験からすると、日本の国会議員は外国を訪問した際には甘い約束をし過ぎて、かえって信頼をし損ねることが多いように思います。常々私は、出来ない約束はしない、主張すべき点ははっきり主張することが双方の国益にかなうと信じて行動していますが、今のところその姿勢は間違ってないと思います。