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民主党の岡田党首は 「民主党の力で新しい政治をつくり、政治を国民の手に取り戻す」 と抱負を述べていましたが、その実やっていることは、20 年前社会党が使った牛歩戦術。どこが新しいのかと耳を疑いたくなりますが、とても常識のある大人の対応とは思えません。おまけに年金法改正をめぐる参議院民主党の対応にいたっては、議会制民主主義を冒涜しているとしか思えません。
民主党の 「秘策」 によりますと、まず厚生労働委員長の不信任案を出し、長時間演説と牛歩で時間を稼ぎ、否決されてしまったら、次に議長の不信任案を出す。その際には議長席には民主党出身の副議長が座るので、議長席に座るや否や会の延期を宣言させ、また時間稼ぎをする。そうするうちに副議長の不信任案も出てくるので、その場合は事務総長が議長席に就く。その事務総長に今度は野党が不信任案を出す。すると次には議員の中の最長老が慣例として仮議長に座る。最年長者は社民党の田英夫議員なので、またそこで四の五の言って時間稼ぎ。そうこうしているうちに 16 日の会期末を迎える、という手はずでした。
ところが浅知恵は墓穴を掘るもので、初っ端の民主党出身の副議長が席に着くや否や 「散会」 を宣言し、事務局職員が止めるのを振り切って 「してやったり」 と意気揚々と議場を出たのはいいのですが、参議院規則第82条 「議長は議事の処理をせずに散会を宣言することはできない」 というのを知っていませんでした。
そこで散会宣言は無効になり、おまけに本会議場を出て行った手前、戻るに戻れず議論に参加すらできない状況で、憲政史上に汚点を残す大恥をかいて終わってしまいました。しかも党籍を離脱して中立であるはずの副議長が 「民主党に頼まれてやった」 と発言してしまい、今度は本岡副議長の責任問題に発展しそうです。
衆参の民主党の対応を見ていると、大人になりきれないまま議員バッジが付いてしまったという人が多く、政党の体をなしていない状況が散見されます。
他人ごとながら、日本の行く末を思うと、いささか心配になります。