国会リポート 第42号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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先週の水曜日、今国会初の党首討論が行われました。これは数年前に与野党の合意で設立された委員会で、正式には国家基本政策委員会といい、17ある常任委員会の 1つです。予算委員会でも野党党首と総理との論戦が繰り広げられますが、余りにも拘束時間が長く、外交日程にも差し支えるということで、予算委員会での総理の負担を減らし、そのかわりに委員会や本会議で総理が答弁しない週に限って、総理と野党党首との討論をさせようということになりました。

イギリスのクエスチョンタイム (英国では 30分間ですが日本では 45分間) に倣ったもので、他の委員会と違い 「質疑」 ではなく 「討論」 ですので、総理から野党党首へ質問を返してよいということになっています。野党はこれに不満で、しばしばクレームを付けます。要するに、総理への質問は用意周到下調べをしてするから自信はあるけれども、総理からの質問を受けるとなると、何を訊かれるか分からず自信がないということなのでしょう。

何を質問するかは事前にきちんと通告すること (というのは予算委員会と違って他の大臣や官僚は答弁してはいけないことになっていますから、あらゆる項目を総理一人で答えなければなりません) になっていますが、菅代表は全くそれを無視して、事実上無通告で質問をしてきます。

先般は冒頭、「総理は日本の食糧自給率をご存知ですか」 と切り出しました。この程度は自民党議員の常識ですから、余裕たっぷりに「いろいろな計り方がありますが、カロリー換算ベースで言いますと自給率は 40%です」 と明解に答弁し、党首討論がスタートしました。

議会用語でいう不規則発言、世間でいう 「野次」 のことですが、気の効いたものはかえって議論に花を添えます。知財立国にからんで、菅代表が 「ところで総理はご自分で発明をしたことはありますか」 総理 「いや、ありません」 と答弁されたものですから、すかさず私が 「小泉語ならたくさん発明しているぞ」 と野次を飛ばしましたら、隣に座っていた福田官房長官が思わず苦笑しました。

ちなみに私は党首討論の筆頭理事で、与党側の責任者です。この委員会は各党の党首・三役をはじめ重鎮が委員となる委員会ですので、安倍幹事長を始め有名人から結構野次が飛び交い、それも楽しめる委員会です。

 

今週の出来事「やっぱり女優?

 

安倍幹事長から埼玉 8区の衆議院補欠選挙の候補者選定の段取りを依頼されました。一般公募をしましたところ、何と 80人以上の 25歳~ 60代半ばまでの錚々たるメンバーが応募してきました。

経歴を見た限りでは、何もこんなやくざな世界に一から挑戦せずとも、そのままでも功成り名を遂げることができるはずなのに、と思える人がたくさんいました。

論文と書類選考で候補者を 20人程度に絞った後、有識者の方々に 5人前後まで絞り込んでもらう作業を任せる史上初めての試みを行うことにしました。 5人を 1人に絞るのは執行部で行いますが、さて、有識者選考委員数名を誰にするかで大騒動。8区は所沢市が主たる選挙区なので、所沢出身の所ジョージさんも選考委員にしようと水面下で打診しましたが (本当)、芸能人として政治とは距離を置きたいと丁重に辞退されました。

町村総務局長は冗談か本音か 「甘利さん、ぜひ藤原紀香を入れてくれ」 「(-_-#)…。」

「受けるわけねえだろ、K-1 じゃあるまいし」

以下、次号。