総 覧
先月末、日本経団連が政党の政策評価を発表しました。各政策の事項ごとに経団連との考え方との合致度、そしてその取組状況を A から D までで評価したものです。そもそも経団連の政策と政党の政策が全ての項目において合致している必要はありませんが、日本を代表する経済団体として優秀な政策スタッフを抱え、その政策提言が一定の評価を得ていることを考慮すれば、経済政策を中心とした項目は傾聴に値すると言えましょう。
総合点では自民党が 85点、民主党が 45点でした。10項目にわたる事項のうち、A評価を受けたのは自民党の 2項目だけでした。それは 「科学技術」 と 「エネルギー政策」 への取り組みであり、それぞれ特記事項に知的財産戦略と原子力政策が良いと記されています。考えてみると、知財戦略は私が取りまとめ党の政策としたもので、原子力政策は私の議員立法たるエネルギー政策基本法で信頼回復を図ったのであり、A項目は 2点とも私がとりまとめたものでした。この点はちょっと自慢していいかな、と思っています。
経団連はこの評価に従って各政党に政治資金を応援すると言っていますから、先般、東京地裁判決が出た青色発光ダイオードの特許裁判に倣えば、増えた献金の半分は私に権利があるということになりますよね (冗談)。
ところで、自民党は結党 50年にあたる来年秋までに新憲法草案を策定することを宣言しています。公明党も現憲法の何点かを修正する加憲を提案し、民主党も新憲法創憲を謳い文句に憲法改正を唱え始めました。
ご承知の通り、現行憲法は駐留米軍が短期間でまとめたものであり、その際日本を類例のない理想国家として再構築しようとしたのか、再軍備を恐れて伝統や文化、公 (おおやけ)を尊ぶ精神まで剥奪しようとしたのか、議論が分かれるところですが、現憲法に今の時代の現実にそぐわない部分がかなりあることだけははっきりしています。前文を読んでみると英語の関係代名詞や挿入句を直訳したような文章であり、日本語になっていないことは以前から指摘されています。権利や自由の主張ばかり散りばめられていて、日本国民としての義務や責任にはわずかしか触れられておらず、好き勝手に権利と自由を振り回し公の精神を失ってしまう日本人をつくり出すかのようです。
憲法の平和主義は尊重するとしても、社会に責任を持つ日本人を育むにはいささか欠陥のある憲法ではないでしょうか。いずれにしても、ついこの間までタブーであった憲法論議が大っぴらに政党の公約として掲げられたことは、健全化への大いなる前進と言えましょう。