国会リポート 第341号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

総 覧

北朝鮮の核ミサイル開発が止まりません。最初から分かっていたことですが、金正恩にとって自らの帝国存続のための必須条件として核搭載のICBMを持つということが至上命題だからです。

父の金正日は金王朝が続くための後継人選は息子たちの性格分析から冷徹に行っています。長男の金正男は温厚かつ西側かぶれで民主化・自由化の道を進み、あっという間に金帝国は崩壊をすると読んでいたでしょうし、次男の金正哲では線が細く性格が優しすぎてとても冷血帝国維持のたくましさはない。 三男の金正恩は傲慢と冷酷な性格ゆえに唯一金帝国を託せると分析したはずです。叔父の張成沢が金正男擁立を画策し、中国に働きかけていたことを金正恩が察知し、その芽を全て絶ったという説が有力 ですが、中国がなぜそのプランに乗らなかったかと いえば金正男では民主化・自由化が進み、南北朝鮮統一へと繋がり、中国にとってのバッファーゾーンが消滅するという事態への危機感があったのだと思います。

ここまで来たら北朝鮮を核保有国として認知して制御のための交渉をしたらどうだという軽薄なコメンテーターがいます。肝に銘じなければならないのは核 保有国になることが北朝鮮のゴールではないのです。 北朝鮮にとってはそこからがスタートです。在韓米軍の撤退を要求し、沖縄米軍にも言及するはずです。 核の恫喝の下に謂れなき賠償を要求し、世界は核拡散の不安に苛まれます。今を止めることが出来ずに核ミサイル保有後の拡散を止めることなど夢のまた夢だと自戒すべきです。テロ支援国家に小型核が拡 散する。否、テロ組織そのものに拡散したら世界は 核テロの恐怖と隣り合わせになります。

「物理的に資金源を断つ。」 このこと以外、適切な方法は思い当たりません。先般の国連安保理決議を基準点とし、実験を重ねるたびに制裁を強化していく。自分の首を絞めるのも緩めるのも自身の行動次第ということを実感させていく以外に道はありません。外交努力による対話はあくまで圧力という前提があって効果が出てくるという事実に今度こそ真正面から向かい合うべきです。

相手は周到な心理分析の上に陽動作戦を行っています。「そうは言っても」と言わせることをあらゆる視点から仕掛けてきているのです。一致結束して隙を与えない。このことが何より重要です。北朝鮮の一連の行動はむしろこちらが試されているのです。

 

 

今週の出来事「不健康長寿政策?」

「あーっ!」 東京駅構内でばったり出くわし、お互いが声を上げた相手は世界的な建築デザイナー・安藤忠雄氏でした。

「今月、新東京国立美術館で私の展覧会があるんですわ。良かったら見に来くれまへんか?」

「先生の?創られたものの写真の展示会 ですか?」

「いや、模型を展示するんです。初日には90歳近い有名人がぎょうさん来られますけん。」

「90歳近い?!」

「そうですねん。万が一の場合に備えて隣には青山墓地がありますから。(爆笑)」

世界に冠たる建築デザイナーのブラックユーモアにはいつも ビックリ。以前、大阪の積水ハウス本社ビルの20階に絹谷幸二美術館が出来た時のこと。そのオープニングセレモニーにて600人の著名人を前に主賓の安藤忠雄氏が挨拶に立ち、

「実はここが絹谷さんの第1号の美術館ではありません。かつて生家のある奈良 の地元で絹谷美術館を建設しようと話がありました。 私がデザインをしましたが、あの人だけはやめてくれと地元の人に反対されて潰れたことがありました・・・。」

主賓のブラックユーモアに場内爆笑。続いて挨拶に立った当事者の絹谷幸二画伯は

「挨拶を頼んだ時に嫌な予感がしましたけれども、その通りになりました。実を言うとあれは安ちゃんのデザインが悪いから反対されたんで・・・。」

また爆笑。まるで掛け合い漫才です。そういえば安藤忠雄氏は幾多のがん手術を乗り越えて、いくつも臓器を摘出しているそうです。

「すい臓と脾臓を摘出して元気な人はいます か?」

「生きてる人はいますが、元気な人は・・・。」

との主治医の答えでしたが、日本最初の元気な人になったようです。とにかく、癌にもめげずエネルギッシュで皆に勇気を与える冗談のきつい世界に誇るアーティストです。(笑)