国会リポート 第343号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

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 今をときめく国際政治学者のイアン・ブレマー氏が北朝鮮問題に関し、「国際社会は、外交交渉で北朝鮮が核ミサイル開発を凍結してくれると誤解していた。もう北朝鮮は、それを完成させていると認めるべきだ。」と述べています。後段の憶測には疑義がありますが、前段は正にその通りで内外の政治家や特にテレビのレポーターが「対話で解決すべきだ」といまだに寝ぼけたことを言っていることに冷水を浴びせるものです。
金正恩や父親の金正日は、軍事強国こそ外交強国であり、通商強国であり北朝鮮が目指すべき唯一の道だと固く信じ、その為に唯一実現可能な「核ミサイル開発」という道をまっしぐらに進んでいるという事実を対北朝鮮政策の「前提」として捉えなければなりません。通常兵器による軍事強国化は、北朝鮮の体力、財政力ではとても不可能であるということを誰よりも認識しているのは金正恩であり、だからこそ誰の静止も振り切って無謀な核ミサイル開発による軍事強国化へと脇目も振らずに邁進しているのです。対話や人道支援を優先すべきという主張こそが現在の状況をつくりあげてしまったという反省が無い限り、この暴走を止めることは出来ません。

 イアン・ブレマー氏の後段部分、つまり「北朝鮮は核ミサイルをもう完成させていると認めるべきだ。」は、いささか早計と思われます。そうさせない為に軍事力以外の唯一の手立て「兵糧を断つ」という最終手段を使い、北朝鮮を身動きが出来ないところまで追い込んでいく必要があるのです。こちらの付帯条件(核ミサイル開発の放棄)付き話し合いに持ち込むためには、そうする以外に道はありません。国連制裁決議を厳格に履行し、中国・ロシアによる抜け駆けを許さない。中国銀行による対北朝鮮金融取引を遮断し、中国からの石油供給もゼロに向けて段階的に絞り込んでいく。更に、核ミサイル開発を諦めさせるということは施設内に入って、それを破棄させる事を確認にしなければ過去に騙された結果と同じになります。

 安全保障は、耳当たりの良いきれいごとが一番危険です。相手の意図を冷静に分析し、その上で戦略的対処方針を作り上げるのです。

 さて、おかげさまで当初の目標通り、ダブルスコアの大差をつけて12回目の当選を果たすことが出来ました。自民党の選挙は運動員の足が止まった時に票の伸びは止まると言われています。党組織や企業団体や、そして何より後援会が最終日ぎりぎりまで動きを止めないことが何より重要です。それが出来たからこそ結果がついてくるのだと思います。

 選挙結果は自民党は離脱者を差し引いた284の現有議席を守り切りました。定数が10減った上での現状維持ですから勝利と言っていいと思います。3回連続圧倒的多数を維持した総裁は安倍総理だけですが、過去2回は自民党に対する追い風で勝ちましたが、今回は野党の敵失による勝利だといえますので驕らず謙虚に課された使命を果たして行くことが肝要です。内閣や党人事は現状のまま来年秋まで行くようですから私は引き続き税制調査会の6人のインナーメンバーの一人として税制を中心に政策に取り組んでいきます。

 

今週の出来事「閑声に包まれ?」

 今年も東京国際映画祭のレッドカーペットを歩くよう主催者側から要請がありました。時の総理や担当大臣の経済産業大臣はその都度要請を受けますが、役職に関わらず毎年要請を受けるのは不肖私だけです。松竹と角川ホールディングスの社長が介添え役で一緒に歩きます。今年は主催者が気を利かせてフォトセッションの私の紹介の際に「東京国際映画祭に多大なる貢献をされ、日本のコンテンツ政策の推進役である衆議院議員の甘利明さんです。」と紹介をしてくれました。

 その後、レッドカーペットロードを歩きますが、歓声に包まれた有名俳優に間を挟まれて「あの人だれ?」という視線の中を歩くのは結構忍耐力が要ります。

 「甘利さーん!」と一人だけ声を掛けてくれた人。ありがとう。来年は最低二人に声を掛けてもらえるよう、頑張るぞ!

 えーっと家族は・・・断られるな。友達に電話しておこう。(笑)