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今話題になっている国家戦略特区は本来、既得権益団体やそれを所管する省庁の反対で出来なかった事案を政治主導で突破していくのがその主旨です。農業団体や農林水産省が異を唱えて実現しなかった農業規制改革を政治主導で実現をさせ、観光関連業界や国土交通省が異を唱えていた規制緩和を実現する。医師会や厚生労働省が異を唱えて実現できなかった医療制度改革を緒につける。国家戦略特区が果たしてきた使命は、規制緩和を通じてむしろその分野を活性化し発展させていくものです。そのテーマにつき是とするものと、非とするもの両者の言い分を公平に聞いたうえで改革を非とするものの説得力が無い場合には、改革を推進していく。
加計学園問題についても手続きの運びに非を唱える前川前次官もいれば、是を唱える加戸前愛媛県知事もいます。両者を公平に報道して視聴者に主体的評価をしてもらうというのがマスコミの本来の役割です。一方の情報ばかりを流していたら、視聴者は正確な評価が出来ません。社会の公器たるマスコミは、公平にバランス良く情報を届けるという姿勢が不可欠です。
メディア先進国アメリカでは、新聞を読む人はほとんどなく、テレビを観る人もどんどん減っています。国民が世の中の情報を得る手段は、ソーシャルメディアがマジョリティーになってきています。ニュースはフェイスブックで知る。アメリカでは5割がそう答えるそうです。依然テレビ大国である日本のニュース報道がその権威を守り、ワイドショー化しない事を願っています。(寧ろワイドショーのニュース番組化と言われていますが…)
トランプ大統領が偽ニュースと血祭りに上げるCNNをよく見ますが、日本のテレビよりもむしろバランス良く報道しているように見えるのは私だけでしょうか?
さて、内政に於ける最大の課題は、経済の再生です。失業率は、完全雇用と言われる程低下し、有効求人倍率は、全都道府県で史上初めて1倍を超え、正規雇用の有効求人倍率もほぼ1倍になりました。企業収益は、史上最高値を更新し、賃上げは4年連続2%を記録しています。マクロの数字は、極めて好調なのに一人一人の体感温度が十分ではありません。2%以上の賃上げをしても物価に加え、消費税引き上げや社会保険料の引き上げに食われて手取りが増えないという事実です。デフレ脱却を想定した賃上げが好循環には必須です。物価目標が2%であるならば賃上げは2.5%以上目指すべきです。内部留保から設備投資分を差し引いた現金預金の総計が2百兆円を超え、一方で労働分配率は7ポイント下がるという現実を直視しなければなりません。賃上げは、現実物価を基準とするのではなく目標物価をオーバーライドするものにしない限り好循環の自動化は起きず、デフレは脱却出来ません。合わせて生産性の低いサービス産業部門を効率化し、加えて新しい付加価値を生み出す新経済分野部門を大胆に育てていく。これらを同時進行で加速する必要があります。ビッグデータ革命の基盤となるあらゆるデータの電子化・デジタル化。その共通ツールとなるマイナンバーを完全普及させ、ビッグデータ革命の何たるかを理解した指導者を各方面に適正配置する事が必須です。