国会リポート 第320号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

総 覧

 ついに世界経済の4割を占めるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)が大筋合意へとたどり着きました。日本が参加表明をして以来2年数ヶ月、苦労の連続の歴史が走馬灯のように脳裏をめぐります。日本が参加したことに対する感謝はほぼ全ての国から寄せられました。巨大経済国アメリカ対経済小国群、象とアリと揶揄された関係が大きく変わったのが日本の参加です。途上国の思いに耳を傾け、巨大国アメリカに物申す。アメリカにとっては厄介な存在になったかもしれませんが、そのことがあるからこそTPPはバランスの取れた魅力的な中身になり、ウェイティングサークルに多くの国が列をなすことに繋がったんだと思います。

 強国の意思だけで構成されたTPPであるならばウィンウィンの関係は成り立たず、何の魅力もなく、新規参加国が増えていくようなものにはならないはずです。完成したところでそれ以上拡大していく可能性もない協定は、世界の基準ともなり得ません。アメリカにとって自身の主張が思い通りに通らない協定は不満もあるでしょうが、全体にとってはバランスの取れた魅力的なものになり、拡大する可能性が高いものとなります。結果としてアメリカにとっても歓迎すべきものとなり、それは則ちアメリカが主張する世界基準となりうるものだからです。協定が発行すれば人・モノ・サービス・資本・情報が12カ国の間を自由に行き交い、共振のように経済が拡大をし、関係が強化されてきます。新規加盟をしようとする国は自国にだけ都合のいい国内ルールをTPPの共通ルールに合わせて変更しなければならず、より透明で予見可能性の高い国へと変貌していくことを要請されます。ある国に投資をしようとするとその時は税金を下げ、支援措置をし、歓迎をしてくれるけれども投資をし、足が抜けなくなった時に技術移転の要求をされたり、国内調達を強制されたり、輸出を強制されたりする、いわゆるパフォーマンス要求はTPPに参加した途端出来なくなります。又、日本の素晴らしい農産品を輸出しようにも検疫でブロックされたりすることがままありますが、その場合には両国の専門者間で協議をする枠組みも出来ました。日本が輸出をしている工業製品は関税でブロックされてる部分が相当ありますが、TPPにより輸出先の関税はほぼ100%なくなることも決まりました。世界ブランド和牛は輸出先で大好評ですが、アメリカへの無税輸出枠も即時数十倍に広がり、15年で関税も完全に撤廃されます。

 一方、衆参農水委員会決議のある日本の農産品重要5品目はコア部分の関税は撤廃せずに守り抜きました。近年、米国が他国とのFTA(通商協定)を結んでいる中では異例なことです。しかし、TPPで大事な意義は農産品を守るべき弱者としてだけ捉えるのではなく、日本の成長を支えていくポテンシャルのある成長産業として捉える点です。攻めの農政に転ずる環境整備をどう整えていくかという視点です。政権交代以降、政府が農産物輸出戦略を掲げた2年間で、農産物輸出は5割増しになりました。農業は成長産業である。それを確信して潜在能力を目一杯引き出すためにどういう環境整備が必要かを政府も生産者も農業後継者も退路を断つつもりで考える時なのです。

 マウイ島でのガーデンパーティーの際にベトナムの商工大臣と数十分話し込みました。日本が参加をし、アメリカにしっかりと注文を付けてくれたことに感謝の念を表されましたが、TPPに日本が参加をして私が一番驚いたことは途上国ベトナムが交渉の進捗の中で100%の関税撤廃を表明したことでした。「これほど自由化レベルの高いTPPによく参加をする決断をしましたね。」私が尋ねると、「真剣な議論を重ねましたが、国運を賭けて決断をしました。」という言葉が返ってきました。各国ともTPPを国家戦略として位置づけているのです。今後新規参加国は12カ国全ての了解が取れて初めて参加が出来ます。日本はアジアにおける頼れる兄貴分としてのポジションをこの分野でも得たと言えるのではないでしょうか。

今週の出来事「あま〜い?!

先日、甘党仲間の、みずほ銀行グループの社長から社長曰く日本一おいしい豆大福というのを頂きました。確かにおいしかったので、これも甘党の総理におすそ分けを持って行きました。

「みずほの社長が日本一おいしいと信じてる豆大福だそうです。何と言っても店の名前が『みずほ』なんですって。」

「ふーん。でもみずほって言うとすぐどっかの元党首を思い起こしちゃうんだよね。塩味とかなってない?(笑)」

このやりとりを件の社長に伝えると

「そっちじゃなくて総理はいつも日本を『瑞穂の国』って仰るじゃないですか。」

…うーん。みずほ論争奥が深い。ん?底が浅い?(笑)


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