国会リポート 第319号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

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 長かった通常国会がようやく閉幕を致しました。この国会のハイライトは何と言っても平和安全法制の成立です。日本を取り巻く外交安全保障の環境が劇的に変化し、従来の枠組みでは対処できない事案が想定されてきます。総理は、本法制は特定の国や地域を念頭に置いているものではないとしてきました。一方で、北朝鮮によるミサイルや核兵器の開発や中国の東シナ海や南シナ海における覇権行為といった状況があることは暗黙の内に皆が理解していることです。対岸国のEEZ(排他的経済水域)まで入り込み、その岩礁を勝手に自国の領土宣言をし、埋め立てて基地化してしまう。公の海たる東シナ海や南シナ海において周辺国からの度重なる抗議にも関わらず、一方的行為を取り続けています。この海域は日本にとっての国民生活と経済を支える石油や天然ガスを運んでくるシーレーンであります。自国のライフラインを自国で確保できないことの危険性は政府の最も認識をしなければならない点です。

 「何もしなければ平和が保たれる」という発想は「何をされても我慢する」という覚悟があるのかに繋がります。中国の外務大臣が国連で尖閣諸島は日本が中国から掠め取ったものであり、これを取り返すのは正当な権利といった趣旨の、歴史も国際法も無視した荒唐無稽な演説を展開し、軍の幹部の中には沖縄も中国のものとしているとの報道もあります。こうした事態に正面から向き合い、一触即発とさせない外交安全保障上の枠組みをどう構築していくかという現実を直視した問題なのです。理不尽な行為をすれば周りじゅうを敵に回すという環境をどう作るかです。「戦争反対」とデモ隊は叫んでいますが、戦争賛成などと思っている国民は一人もいないはずです。そして安倍内閣は誰よりも最悪の事態にならないための現実的な対応をどう構築するかに腐心しているのです。

 マスコミのアンケートで過半数の国民がこの法制に反対と報じていますが、その内容を確認してみればこの法案の必要性は過半数が認めています。ただし、この国会で成立させるのは拙速だと思っているのが多数であるという調査結果です。国民の多くは日本近海の緊張の高まりを正しく理解しているのだと思います。平和安全法制を「戦争法」「徴兵制」などと荒唐無稽なレッテル貼りをし、本質から目を遠ざけるやり方はいかがなものでしょうか。政府の法案に反対ならば対案を示して、安全保障環境の劇的な変化にどう対処していくか、国民にわかりやすく議論を展開すべきだったと思います。法案成立後もその必要性をわかりやすく国民に説明をしていく努力は政府の責任として続けていきます。

 さて安倍総理は安倍政権の秋の陣は再び経済に軸足を置いていくと宣言をされ、アベノミクスの新たな3本の矢を発表致しました。生産性革命を起こし、強い経済を実現し、現在500兆円の名目GDP を将来600兆円にしていく。子育て支援を抜本的に強化し、安心して出産・子育て出来る社会にしていく。介護による離職者をゼロにし、必要な介護を受けられるようにしていく。つまり、誰にもわかりやすく目に見える形で経済成長を確保し、その恩恵を働く人全てが実感できるような対応を取っていくということだと思います。国民全てが日本の躍進のために活躍できる環境を整備していきます。

 内閣改造後の記者会見で、総合パッケージを発表されると思います。そして、キックオフは10月中旬にも開会される経営側と政府側による「官民対話」です。あと一息で脱却できるデフレに、強いメッセージを市場に送り、経済の好循環を確かなものにしていきます。過去最高の企業収益が投資や賃金に確実に反映されていく自動循環まで手を緩めることはありません。

今週の出来事「No.1タイムキーパー

総理が出席をされる会議は時間管理を厳格に要求されます。総理の日程がまさに分刻みで設定されているためです。私が進行役を務める経済財政諮問会議や産業競争力会議も一分単位で終わる時間が指定されます。それゆえ腕時計を目の前に置き、分単位のタイムキープをしていきます

総理を前に話ができるチャンスはそう多くないもんですから、いきおい出席者は熱が入りがちです。

「今日の発言はお一人様2分55秒以内でお願いします。(笑)」

「はい。今日のテーマは歳出改革ですが、政策効果の高い支出『ワイズスペンディング(賢い支出)』が重要です。」

 

民間議員からの問題提起に

「そうですね。我が家の支出の大層は『ワイフスペンディング(家内の支出)』ですが」

(爆笑)・・・リラックスした雰囲気を作りながらしっかりと議論をし、併せて時間管理をしていくのも進行役の腕です。 

「・・・本日は皆様のご協力により総理が5分遅れて入られたにもかかわらず時間通りに終わることができました。」(一同爆笑、総理苦笑)


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