国会リポート 第306号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

総 覧

補助金を受けた企業からの献金が問題になっています。私を含め閣僚8名、そして岡田民主党代表を始め与野党議員多数がマスコミからその指摘を受けました。政治資金規正法では補助金を受けた企業は補助金決定の通知を受けた時点から一年間は政治献金が出来ない事になっています。補助金が間接的に政治献金に廻っているとみなされる危険性があるからです。

但し、この補助金も研究開発委託であったり、被災地での事業の場合は国策への協力という事で例外になっているなどの細かい規定があります。補助金を受けている事を献金を受ける側が「知っていながら」献金を受ける事は禁止されています。というのも先方企業の細かな経理内容は顧問税理士でない限り詳細を把握する事は不可能だからです。それ故、献金元企業が補助金を受けて1年未満である事が確認された場合はその間の献金を返金するという事にしているわけです。しかし、知らなくてもけしからんという議論をする人もいますが、国からの補助金を受けているかどうか先方先企業の会計書類を全て閲覧させてもらわない限り把握のしようがありません。

私の事務所では、献金を受ける際には、「政治資金規正法により以下の案件に該当する企業からは献金を受ける事が出来ません」として法律が定める要件を箇条書きにして、先方に送付する事としておりますがそれですら担当者が読んでくれていなかったり、担当者の引継ぎが出来ていなければ防ぎようがありません。ルールを決めるとするならば補助金を交付する際、行政側から「この補助金を受けて一年以内は、政治献金は出来ません」なる通知を同時に補助金交付先に通知する事がベストだと思われます。幸い、マスコミの側にも制度上の工夫をした方が良いとの論調が出て来た事は冷静な判断だと思います。

そもそも政治資金規正法は、政治資金を集めさせない為のルールではなく適切に集める事が出来る為のルールです。民主主義国家においては、金持ちであろうとそうでなかろうと平等に政治にチャレンジ出来る仕組みが重要です。事務所を構え、人を雇い、後援会をつくり政治活動をしていく為には多額の資金が必要となります。政治資金を集めてはいけないという方向になれば、金持ちしか政治家に挑戦をする事ができません。正に民主主義の思想とは反対の方向に進んでしまいます。誰でも適切に政治資金を集める事が出来る、そのルールをつくるのが政治資金規正法です。そもそも規正法という名前が誤解を生んでいます。政治資金適正化法と命名すべきだったのかもしれません。政治資金を集めさせず公的資金でという人もいますが、政治は行政権力から独立していなければなりません。更には、新人は徒手空拳で戦うわけですからそういった庇護にはあずかれないわけです。各国比較をする場合には、それぞれの国の都合の良い所だけ寄せ集めて比較をし、日本は、けしからんという論調が目立つのもいかがなものかと思います。誰でも、何処でも政治家を目指すものは適正なルールに従って必要な政治資金を人や企業から集める事が出来るというルールが民主主義のインフラになります。

また、個人献金は善で企業献金は悪なる思想も偏見のある発想です。大事な事は個人であろうと企業であろうと献金に個別具体的な思惑を込めず、良い社会を作って欲しいという思いだけ持たせる事です。個人も政治参加をすれば、企業も法人として政治参加をし、民主主義のコストを分かち合って行く、いろいろな主体がよりよい政治をするための意思表示をすることは認められるべきではないでしょうか。

「良い日本を創ってもらう為に、純粋にこの人を応援したい」そういう政治資金を政治家は求めています。

今週の出来事「回数論議?」

西川農水大臣の後任に林前農水大臣が再任されました。閣議控室での席次が変わり高市大臣の上座に座ることになりました。

「私の席が下がったけど、これって当選回数順なの?」

素朴な疑問を呈する高市大臣に

「いや、能力順です。」

と官房長官がピシャリと返答したものですから場内大爆笑。本当は、当選回数と大臣在職日数に配慮したものです。

「朝は野菜ジュース、昼は豆腐とヨーグルトだけ」半年で5キロダイエットした私にその秘訣を聞かれた為答えると当の高市大臣は、

「残された人生、食事の回数は決まっているんだから好きなもの食べなきゃ生きている意味が無いでしょう」

…『好きな食生活を続けてると人生の回数そのものが減るんじゃない?』

と返答したとしたら彼女の答えはたぶん

『いいもん、美人薄命だから』

なんでしょうね。こういう人はしぶといんだよな(笑)