国会リポート 第112号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

連休中、ウズベキスタン・カザフスタン・サウジアラビアと資源外交を展開してきました。

大臣就任以来、「世界は資源争奪戦に入っている。民間に任せて傍観しているだけでは日本のエネルギー戦略は手遅れになる。」 と宣言してきましたので、入念な準備の下訪問し、各国で元首級の歓迎を受け、多大な成果を挙げる事ができました。

私は原子力発電にアゲインストの風が吹きまくる中でも、その必要性を訴え、先頭に立ってきました。その結果、日本は細々とではあったにせよ、この十年間先進国の中で新規原発を立地した唯一の国ということになりました。その努力が原子力の技術を維持し、世界が原子力回帰に大きく舵を切った昨今、エネルギー外交上の大きな武器となりました。

昨今は原子力反対の急先鋒の環境団体 『グリーンピース』 の理論的後ろ盾といわれたジェームス・ラブロック博士ですら、「温暖化から地球を救えるのは原子力しかない。たとえ、裏切り者と言われようとこの主張は変えない!」 と宣言されたように、世界は一挙に原子力推進に舵を切り出しました。

一連の資源外交を、めったに政治家を褒めない朝日新聞や毎日新聞までが 『多大な成果』 と報じてくれたのには、風雪に耐え、信じた道を邁進してきた事が報われた思いでした。

 

今週の出来事「スパイダーマン

 

GW 中のヒット映画 No.1 は 『スパイダーマン3』 だそうで、最初の三日間の従来の記録 (パイレーツ・オブ・カリビアン?) を大幅に更新したそうです。

あの映画はコンピューターグラフィックがふんだんに使ってあり、ソニーピクチャーズの関係者に聞きますと、制作費が 360 億円かかっているんだそうです。1 億ドル (120 億円) 以上かけている映画はハリウッドでもかなりの大作といわれていますが、その 3 倍以上であり、過去に空前の制作費といわれた 『タイタニック』 の 200 億の 2 倍近い金額ですから、黒字を出すためにはメガヒットにならなければ無理だと思っていました。

「そんなにかけて元は取れるの?」 と聞きましたら

「もちろん大丈夫です。」 と国際プレミア (世界先行試写会) の席で言っていました。

スパイダーマン役のトビー・マグワイアは中々の好青年で、私が元ソニーの社員だったと話すと、「本当ですか?」 と驚き、「お目にかかれて光栄です。」 とシャイな態度で返答していました。

ちょっと驚いた事は、意外と小柄で私とあまり変わらない身長でした。そういえば映画の設定はひ弱なアルバイト青年が毒グモに咬まれて強靭な主人公に変身するという設定でしたので、さもありなんと納得しました。「うちの娘があなたのファンなんですよ。」 と思わず言いましたら、「娘さんによろしく言って下さい。」 とにこやかに返されました。

娘がファンかどうかは確認をしていませんでしたが、つくづく 「俺も調子がいいなぁ…」

今年の 1 月にアメリカを訪れた際、アメリカのコンテンツ政策関係者を大使公邸に集めてもらい、2 時間ほどコンテンツ産業の未来について語り合いました。その際、ついでにソニーピクチャーズ (昔のコロンビア映画) のスパイダーマンのスタジオを見学させてもらいました。

主人公が住んでいるニューヨークのビルの屋根裏部屋のようなセットに入り、ベッドに腰掛けてきました。アメリカ人のプロデューサーに 「ところでこの部屋一泊いくら?」 と冗談をとばすと大笑いして 「高いですよ!今夜泊まりますか?」 と返されました。

セットの部屋の外にスパイダーマンが恋人の MJ (メリージェーン) に電話をする公衆電話が置いてありましたが、前を通った途端に 『リーン、リーン』 と鳴ったもんですから、一同ビックリ。結局、スタッフの携帯電話と分かり 「思わず出ようかと思っちゃったよ」 と言うと、一同大笑いとなりました。