総 覧
いよいよ領土紛争が現実的なものとなってきました。
実効支配をしている紛争地域には、実効支配国の首脳は立ち入らないという暗黙のルールが次々と破られています。
李明博韓国大統領は軍事政権下ですら元首は上陸しなかった竹島に上陸し、日本に向けた最大限の挑発行為を行いました。
先にはロシアのメドヴェージェフ首相がこれまた首脳として初めて北方領土に立ち入りました。
「私の在任中にはこんなことはなかった。」と鳩山元総理が能天気な発言をしていますが、全ての発端は自分にあるという認識が微塵もありません。
アメリカの有力紙に『アホバカ総理』と書かれ世界に恥を晒した理由すら自覚していないようです。
今回、香港の活動家が取った尖閣諸島魚釣島上陸行為に対し、逮捕・強制退去という対処は現状では適切な対応であったと個人的には思います。
ただし、前回の中国漁船の海上保安庁警備艇に対する暴挙への腰砕け対応がなければの話です。
前回、前原国交大臣 (当時) は漁船員を公務執行妨害で逮捕し、裁判に掛けるという決断をしました。これは従来、自民党が取っていた「捕まえて、追い払う」という対応から一歩踏み込んだ対応でした。
ならば中国側がいかなる反応をしようとも法的手続きを完遂するという覚悟を持たなければなりません。中国側のレアアース禁輸措置や在留日本人逮捕の報復に驚き、腰砕けになってしまったことが、今回の対応をより軟弱に見せています。
従来より一歩踏み込んだ対応をする際には、それによってどういう反応が起きるかをシミュレーションし、その反応に耐え抜く覚悟がなければ単なるこけおどしになってしまい、相手に足下を見られるという結果に繋がります。
そしてそれらすべての背景には鳩山総理の思いつき発言により、日米関係が揺らいでしまった間隙を突かれている側面が大いにあるという認識が民主党に不足しています。
現代社会において各国間の外交力を後押ししている要素は残念ながら 7割は軍事力です。そして 3割が経済力です。
経済力においてアジアにおける日本のプレゼンスが落ちてきている現状から見れば、外交発言力は日米関係の堅牢さと正比例します。
日米関係を台無しにし、経済を失速させた中で外交力を発揮しようとするのは至難の業です。
もちろん自民党にも反省はあります。
日本経済が圧倒的な存在感を持っていた時代に、そして、日本の ODA に中国が依存していた時代に、ほふく前進で少しずつ実効支配を強化していくべきだったのです、そして最終的には自衛隊が常駐し、その為の施設が整備されるところまで手を緩めない措置が必要でした。
現状下でなすべきことは、両国国民に、正しい歴史的事実を知らしめることです。中国や韓国の反日デモの参加者のほとんどは歴史的事実を知らない人ばかりです。客観的事実としての歴史を政府はあらゆる手段を通じて発信すべきです。
官邸のホームページや外務省のホームページには英語版と中国語版があります。尖閣、竹島に関しても一通りの記述はしてあるようですが、私が言いたいのは、中国語版、韓国語版ホームページに尖閣、竹島の特設ページを設け、日本に帰属する正当性を歴史的事実をもとに記載すべきなのです。
過去に行われた国際条約上の処理や中国、韓国側が数百年前より日本国領土と認めていた資料の写しを掲載し、ネット世代の中国韓国両国民が特設ページに自由にアクセスできるようにすべきです。この提案は、私から内閣広報官にいたしました。
領土防衛に対し海上保安庁や警察と自衛隊とが連携を取り対処する『領海警備法』の制定を首相補佐官の長島衆議院議員が言及したにもかかわらず、藤村官房長官は中韓の反発を恐れ言下に否定しました、主権確保は当事国政府の腹のくくり方と正比例する問題です。