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ゴールデンウィーク中に、債務危機に揺れるイタリアを訪問してきました。
現在、私は日本イタリア友好議員連盟の会長を務めており、経済産業大臣時代に日伊経済交流の促進を図った功績によりイタリア国から騎士十字勲章を拝受しており、イタリアに知己の多い政治家の 1人です。
ギリシャに始まった EU 債務危機はイタリアに飛び火しましたが、ユーロ圏で 3番目に大きな経済規模の国家であるイタリアが防波堤になれなければユーロ圏は崩壊の危機を迎えるとすら言われています。
そうなれば、世界経済は未曾有の事態に巻き込まれる可能性があり、対岸の火事とは言えない案件ですが、政府関係者と話をすると沈静化にかなりの自信を持っていました。「町を歩くと見知らぬ人から『頑張って!』と声をかけられるんですよ。」と誇らしげに話していた政務次官は、国会議員ではありませんから次の選挙を気にする必要はありません。
国会議員であるベルルスコーニ首相が退いた後、非国会議員のモンティ首相がナポリターノ大統領から指名を受け、非国会議員で組閣した内閣です。次の総選挙までの任期中、当落を気にする事なく必要な改革を進めることができる仕組みです。
厳密な議院内閣制をとる日本では考えられないシステムですが、イタリアのこのやり方は 2,000年前の古代ローマ共和制に倣った知恵だと、ローマ在住の作家塩野七生さんは指摘しています。
古代ローマでは、平時は選挙で選ばれた 2人の執政官が政治行政の指揮を執る、言わば総理役を務めます。それぞれ拒否権を持っていて、片方の政策に賛同できなければ拒否権を発動します。双方が拒否権の連発になり行政がデッドロックに乗り上げた時には、元老院が任期 6ヶ月で一人だけ独裁官を任命いたします。その独裁官の決定には全員が従う。ただし、6ヵ月後には元の制度に戻すというやり方です。平時は選挙で選ばれた者が執政し、膠着状態に陥ると、指名された 1人が短期の任期つきで指揮を執るというやり方です。
言われてみれば「なるほど。2,000年前の知恵に倣ったやり方か。」と、関心をしました。
しかし、この問題の根が深いのは「独裁官内閣」の一員ですら「ユーロ圏全体で見ればギリシャやイタリアのマイナスはドイツのプラスが取って代わっているだけです。」という考え方ですから、財政再建の必要性を国民レベルで共有する道のりは遥か遠いと感じました。
その後、ローマ市内にあるバチカン市国を訪問しました。実はバチカン側から、バチカン図書館にある膨大な蔵書のうち、手書き書籍 8万冊が保存の限界に来ており、デジタル化の相談を受けております。手書き書籍は日本語を含む世界中の言語で記載された物があり、まさに『世界遺産』です。
館長には高齢の枢機卿が就任しており、実務は副館長が仕切っています。各国に協力を打診している中で、私の方にも相談がありました。
会談が終わると副館長が「時間がおありなら館内を案内しましょう。」と、案内された先はバチカン日本大使館員ですら入った事のない場所でした。
近年、ダ・ヴィンチコードや天使と悪魔等、バチカンを題材にしたハリウッド映画が話題になっていますが、「撮影はバチカンで行われたんですか?」と尋ねると、「いかなる撮影も許可する事はありません。」との返答。どうやら資料を基に再現したようです。
東京ディズニーランドより狭い面積の国で、世界 12億人のカトリックの総本山たるバチカンのプライドを垣間見るようでした。