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内閣委員会に於ける騒動の顛末は先般報告した通りですが、一番の問題は、強行採決に抗議しようとした私を委員でもない民主党議員が大量に乱入して力ずくで押し返した事なのです。
他の委員は委員長席の周りに集まって来ているのに、何故私だけ暴力的に妨害されたのか理解に苦しみますが、こんな事で有名になるのはまったく私の本意ではありません。 強行採決された法案の中身は、昨年政府案を提出した責任者からすれば、換骨奪胎された、まるで話しにならない物でしたし、一昨年民主党も賛成した公務員制度改革基本法の趣旨から大きく外れた物になってしまいました。
民主党政府案は、(1) 事務次官・局長・審議官を同格にする (つまり、事務次官から審議官への降格は単なる人事異動の扱い)。(2) 組織改編で人が要らなくなった時には再就職を斡旋する。この二点だけの内容です。 しかも、民間で言えば、社長から部長への降格やその逆が、大臣の意向で自由にできるとなれば、媚びへつらう職員しか居なくなるではないか、という指摘に対する答弁は、社長から○○部長に至るまで一つ一つのポストに就任させる説明責任を大臣に負わせる、という始末。それでは何のために社長から部長までを同一ランクとしたのか、と尋ねると支離滅裂の答弁。 昨年の政府案では、社長・常務・平取締役のランク分けをきちっとし、そこに該当する能力を客観的に評価してランク毎に人事リストを作り、同じ能力の中からは大臣が政治主導で選べる、という物でした。つまり、基本法が要求している公正な客観的人事評価と大臣の政治主導を両立させるやり方です。
さて、今回の騒動ばかりが注目されておりますけれども、騒ぎの大小に差はありますが、ほとんどすべての法案を民主党政権は強行採決で成立をさせているという事は意外と知られておりません。何故、こないだの強行採決だけテレビが放映したかといえば、最後の質問者が小泉進次郎議員であったので、彼の後をテレビが追ってきたわけです。小泉議員しかカメラを引き付ける事が出来ないのはいささか情けない話ですが、カメラが放映しないところで強行採決は常時行われているという事が今の政権の異常な姿です。 あらゆる法案に自民党は対案を提出していますし、民主党政府案とすり合わせることを要請しておりますが、我々の案はいまだ一顧だにされません。 自民党政権時代には、野党提案でも良い物があれば修正協議をし、野党の要求を取り入れていったものです。今回の法案の基になる公務員制度改革基本法も、民主党と修正協議をして両方の主張を入れて出来上がった物なのです。
「民主党に任せていたら、この国は潰れてしまう」と、心配をする有識者の数は日増しに増えています。
今、国民にすべき問題提起は (1) 民主党マニフェスト不況に終止符を打たせる事 (空前のばら撒きと自虐的な国際約束が日本の競争力を失わせ企業が大量に日本から逃げ出し始めています)。(2) 民主党マニフェスト不信から脱却する事 (アメリカやアジアがこの政権に対する不信と不安を強く抱いています)。(3) コンクリートも人も大切にする事 (空虚なスローガンで人心を惑わさない)。(4) 日本を食い物にするお手盛り政治を止めさせる事 (各省の顧問に民主党関係者を大量に採用しましたが、民主党の提出した政治主導確立法では、さらに民主党本部の職員を特別国家公務員として最高月給 85万で多数雇い入れます)。 民主主義国家とは思われぬ独裁政治が日本の未来を食いつぶしてしまう前に何とか食い止めなければなりません。参議院で民主党与党の議席を過半数割れにして逆ねじれ現象を起こし、野党の提案に耳を傾けなければ法案が成立をしない状況を作り出さない限り、この国は滅亡に向かって邁進してしまいます。