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《企業の内部留保と、皆の年金積立金が危ない》
鳩山総理や小沢幹事長の政治資金疑惑はもちろん重大な問題ですけれども、日本国家にとってより深刻な問題は、民主党政権の予算編成が進むと近い将来わが国はデフォルト (債務返済不能) 懸念が発生し、日本国債評価が暴落する心配があることです。
従来、我々が組んできた予算は長期的な債務管理政策を行ってきました。つまり、借金が膨らんでいっても経済成長の範囲内に納めて常に返済能力を担保するという自己抑制です。民主党は都合の悪いことにぶつかると「誰のせいでこうなった」と言うのが口癖になっていますが、自民党政権下で赤字国債が累増してきたのは 2つの理由によります。
1つは医療・介護・年金等の社会保障費が高齢化に従って毎年 1兆円ずつ自然増していった事。2つ目は石油ショックやバブル経済の崩壊や金融不安等で不況に陥るたびに、景気対策として大量に赤字国債を発行した事です。
民主党政権に交代してなされた予算編成は、マニフェストを実行するために毎年継続的に 17兆円以上の新たな追加予算が発生するものです。10年続ければ 170兆円必要になり、20年続ければ 340兆円の新たな財源が必要になってきます。
覚えていらっしゃると思いますが、民主党は選挙前の公約で「これら毎年必要な新たなマニフェスト経費は無駄を省いて捻出するので新たな国民負担は生じない」と言っていました。一般会計と特別会計を合わせれば 207兆円になるので、一割をカットすれば 20兆円以上毎年お金が生まれるのでそれで賄う、と約束したはずです。しかし 20兆とは程遠く、事業仕分けで産み出された捻出額はたかだか 7千億円に過ぎません。
それはそうでしょう。特別会計とは年金の支払いとか、財政投融資の返済とか右から左に渡って行くお金がほとんどで、無駄を削減する余地などほとんどない、見せかけだけ大きい予算で、一般会計とは趣を異にしているからです。新たに毎年発生する 17兆円は無駄を省いてその予算に充当すると言っていた民主党の約束は大嘘だったという事はやがて国民にも分かってきます。
そこで、民主党政権内で議論され始めたのが企業の内部留保金に課税し、更には国民が払っている年金保険料の積立金 120兆円をも取り崩して他の政策に流用してしまおうという案です。企業の内部留保は法人税を払った後の利益で将来の設備投資を始め企業が存続して行くための原資です。これに更に税をかける事はまさに二重課税です。また、国民の積み立てた年金を他の政策に流用してしまおうという事に至っては、犯罪行為に等しいものであります。
長妻厚労大臣が野党の時代に「年金積立金は年金事務の切手代にすら使ってはいけない。1円残らず年金給付のみに充てろ!」と主張した政党とは思えません。
本会議で我が党の大島幹事長が「年金積立金を他の政策経費に流用するなんて事はまさかないでしょうね?」との質問に対し、鳩山総理は「年金積立金の取り崩しには慎重にならなければなりません」とその可能性を公式に否定しないのは、恐ろしい事です。
各省大臣が役所の顧問として民主党の落選議員を多数公費で雇いあげたり、政治主導と称して政府の特別職に民主党本部の職員を大量流入させて党職員の人件費を国費で肩代わりさせる等々、民主党の暴走はとどまる所を知りません。
新聞はかすかに報道しますが、テレビは見てみぬふりを通します。国民が事態の深刻さに気が付いた時には取り返しの付かない事になっているのではないかと懸念します。
防ぐ手立てはただ一つ、7月の参議院選で民主党に過半数を絶対取らせない事です。