国会リポート 第182号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

大抵の事では驚けなくなってしまった民主党政権の破天荒な行動にも、今週はいくつも驚かされる事件が発生しました。

これから予算審議が始まるというのに、国土交通省の公共事業の個別事業への予算の配置、いわゆる箇所付けが副大臣によって発表され、その会見が行われた事です。国家予算は、政府案が 1月に国会に提出され 3月いっぱい審議を経て成立して、初めて承認されるものです。審議もしないうちから詳細の配分を発表するなら審議自体が必要ないという事になります。つまり、国権の最高機関たる国会は要らないという事になりますので、まさに驚天動地の大失態であります。

官房長官は、野党の要求に従って陳謝しましたが、それで済まされるような問題ではありません。政府の人間が、国会の存在意義そのものを否定したという事ですから、戦後の歴史の中で経験しない事態です。

さらには、落選議員を含む民主党国会議員経験者を、総務省の顧問として原口総務大臣が大量に採用したという事件です。2時間勤務すれば、それだけで毎日 2万円の報酬が税金から支給をされるという事は、民主党落選議員の生活支援の場となり兼ねません。どうしてこの様な非常識な事態が次から次に起こるのか、信じられません。

加えて、小沢幹事長自身の嫌疑不十分による不起訴処分は到底国民の納得するところではないと思います。政治資金都合 30億円が不実記載であり、その中にはゼネコンからのダム受注に対する賄賂 1億円も提出者側が供述をしていると報道されており、不動産購入資金の 4億円をとってみても、小沢幹事長の説明は「政治資金で買った」から、「銀行借入で買った」に変わり、最後は「タンス預金で買った」と記者会見で 3度、自身の説明を変更しています。そもそも、自己資金があるなら銀行借入の偽装工作をする必要がどこにあるのか、本人でしか説明できない事実が多々あるはずです。

今、地元を回りますと、鳩山総理の 13億円や小沢幹事長の 30億円が不問に付されるなら、とても真面目に税金など払う気がしない、という声が溢れています。

かつて自民党は、1億円の政治資金不正処理で坂井隆憲議員本人が逮捕された歴史を鑑みれば、ダブルスタンダードの感は否めません。

予算に関して我々が一番心配している事は、マニフェスト実現のための今年度の追加予算 7.1兆円は節約により捻出し、そのための赤字公債発行は一切行わないという約束であったにもかかわらず、ムダの削減は、たかだか 7千億しかできず、マニフェスト実行のため大量の赤字国債が発行されたという事です。23年度以降、マニフェストがすべて実行されると 17兆円の追加財源が毎年々々必要となります。

子ども手当て 5.3兆円や高速道路無料化 1.8兆円は始めたら最後、毎年支出するお金ですので、恒久政策には恒久財源でという大原則を大きく踏み外す事になります。

毎年々々あちこちからかき集め、足りない分は赤字公債でという政策は、今までの政府には存在しない選択肢ですが、対 GDP 比債務残高が無限に拡散するという国家破綻への道を歩み出してしまいました。

自民党時代は毎年、債務管理として 5年から 10年先を見通した歳出歳入見通しと財政再建目標を作りました。我々が行っていたのと同様の物の提出を求めていますが「6月まで待ってくれ」と、参議院選挙あるいはその先まで引き延ばす作戦です。待たなければ出ない数字は一つもありません。マニフェストを折り込んだ収支見通し、債務管理見通しを一刻も早く出してもらいたいと思います。

 

今週の出来事「天地神明(登校拒否になりそう?!) 

 

『今の国会は学級崩壊』

新聞に大きな囲み記事が掲載されました。

大臣がヤジを飛ばし続けるは、答弁拒否をするは、指名もされていないのに勝手に席を立って質問者に罵声を浴びせるは、疑惑を追及する野党の質問には一斉にヤジの嵐となり質問すら聞き取れないは、それを制止もしない民主党の委員長等々。

本会議場での私のヤジのシーンがテレビに映ったようですが、私のはそういう事態を「恥ずかしくないのか!」とか、「議長!静粛にさせろ!」と叫んでいるシーンです。本会議場での一斉の大拍手や一斉のヤジは、ここは北朝鮮かと錯覚しそうです (ホント!)。

かの地の金正日総書記は、大変な食道楽と報道されていますが、民主党の『将軍様』の周りも『食文化』に造詣の深い方達が取り巻いていますよね。

どんな人達かって?「側 (蕎麦) 用人」とか「茶坊主」だらけでしょ。

自民党の谷垣さんの周りはどうかって?

ぜんぜん居ませんよ。みんな地味ん (自民) な人ばっかりですから。