国会リポート 第171号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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東京が開催地として立候補している 2016年のオリンピックで、追加競技の候補としてゴルフが決定いたしました。17歳のプロゴルフプレイヤー石川遼選手は「その時には日の丸を背負って戦いたい」と爽やかに答えました。日本の青年の健全さを象徴する姿でとても好印象でした。

一方、政権交代を唱える民主党は党大会にすら日の丸が掲載されません。党本部にも掲げられていないと聞きます。

鳩山代表は「日本という国は日本人の物だけではない。」また外国人参政権に関し「地方参政権だけではなく国政参政権も検討に値する。」旨の発言をしたことが過去に報じられています。

主権在民とは国家を統治する権限は日本国民にのみ存するという意味です。友愛の解釈を地球は一つ人類は皆兄弟という精神論で唱えるならまだしも、現実の国家統治に持ち込み領土・国民と並ぶ独立国家の三要素である主権を放棄するかの様な発言は国際政治では笑いものになりかねません。主権とは、日本国を外国の支配の手に委ねないということなのです。

民主党のポスターには (1)天下り全面禁止で 12兆円 (2)特別会計廃止で埋蔵金 50兆円、この 2つを財源として毎年 17兆円のばらまきを行なうと書いてあります。

(1) は役人の天下りが 1人でもある法人に支出されている補助金 12.1兆円を全廃するという意味だと思いますが、一般職員を含めすべての人件費を合わせても 1千億円であり、残りの 12兆円は政策経費であります。住宅ローンの金利を補填する国の業務であり、中小企業や農業者向けの低利融資の金利補填金であり、公営の研究所の研究費であり、国公立大学の授業料の補填金等であります。これらをすべて廃止するというのでしょうか。

(2) の埋蔵金が 205兆円の特別会計の積立金を意味しているとするなら、そのうちの 154兆円は年金や労働保険の積立金なのです。残りの 50兆円のうち財政融資資金特会の 20兆円は国民年金の国庫負担引き上げにすべて使われてしまいますし、外為会計の 20兆円は 1ドルが 97円を切った時点でマイナスになってしまします。残りの 10兆円は国際整理基金分であり借金返済にあてる金です。

出せるあてのない 50兆円をどこから出すんでしょうか。明確な説明がないなら公党による国民に対する詐欺行為とも言われかねない行為です。

民主党の鳩山代表がマニフェスト発表記者会見を行った後、3度に亘って取り下げ、出し直しを演じました。1回目は大阪の橋下知事から地方分権への配慮がないと指摘され出し直し。2度目はアメリカとの自由貿易協定を結ぶと日本農業崩壊の警告が農業団体から発せられると再度取り下げ書き直し。三度目は自民党から経済成長戦略の言及がないと指摘されると再々度取り下げその記述を追加して出し直し。

一体いつまでこんな事を続けていくんでありましょうか。何か言われる度にそれを加筆して提出し直すと全体の整合性はどうなるんでありましょうか。そもそもマニフェストの信頼性をどう考えているんでしょうか。民主党の大幹部が政権を取る為にはどんな約束もしてしまえばいい、政権を取ってしまったあとはできなければごめんなさいと言えば済むことだと新聞に報じられました。そんな無責任な態度でマニフェストを追加出し直ししているのであればマニフェストの比較自体が虚しい事になります。

自民党は大風呂敷を広げる事はできませんし掲げた約束は必ず実行いたします。つまり、責任を持てる事しかマニフェストには掲げません。

 

今週の出来事「ワンフレーズポリティクス

 

「もしもし、中川昭一だけど」

突然同期生の前財務大臣中川昭一君から私の携帯に電話がかかりました。中川昭一君とは初当選の頃からの友人です。酩酊会見ばかりが有名になってしまいましたが本来は男気のある極めて有能な政治家です。

「久しぶりだね。元気で頑張ってる?」「あぁ、ところでこの間の甘利ちゃんの『ピザ屋のトッピング発言』だけど、あれ面白かったんで僕も使わせてもらおうと思ってさ」

実は先週の定例記者会見で記者からの「民主党はマニフェスト (政権公約) の不備を指摘される度に手直しして出し直しを繰り返すが、その事についてどう思うか」という質問に対して、

「ピザ屋のトッピングじゃあるまいし注文がつく度にその上に次から次へと色んな物をのっけていったら届く頃には何味だったかもわからなくなる。」と答えた事が記者に大受けしたことなのです。

…「じゃぁ俺も昭ちゃんのフレーズで何か使おうかな」『日本のために酒を断ちます!』…う~ん良い言葉が見つからない。